2011 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化硫黄の新遠隔計測インバージョン法の開発:大気中3次元分布の解明
Project/Area Number |
22710026
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
入江 仁士 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (40392956)
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Keywords | 環境計測 / 二酸化硫黄 / MAX-DOAS / インバージョン |
Research Abstract |
社会的関心の高い広域大気汚染や地球温暖化の予測精度を向上させる上で、二酸化硫黄(SO_2)の動態解明は急務であり、新しいSO_2の観測手法の開発が切望される。SO_2の実態については、鉛直分布や長期変動についての知見は乏しく、また、水平分布についても地域的な偏りが生じてしまっている。そこで、本課題では、新たなインバージョン法を開発し、これまで測定したMAX-DOASの紫外可視域スペクトルデータを再解析することで、SO_2の高度分布を多地点で明らかにするとともに、同時に得られるカラム濃度データを用いて衛星データを検証し、緯度経度分布も定量的に明らかにする。 当該年度では、平成22年度に作成したインバージョンアルゴリズムを日本・中国の複数地点で得られたMAX-DOASのスペクトルデータに適用し、SO_2の高度分布・カラム濃度を導出した。並行して、SO_2カラム濃度の人工衛星データを収集・解析し、MAX-DOASデータと詳細な比較を行い、両者の月平均値が誤差の範囲で一致することを確認した。また、衛星観測の精度は0.5-1.0DU程度であることを示唆する結果を得た。MAX-DOASデータから、SO_2濃度は自由対流圏では概ね1ppbv以下であり、都市域の境界層内の平均濃度は年平均値で3ppbvまで達しうることが分かった。3月には沖縄の境界層中のSO_2濃度が特異的に増大し、中国からの越境汚染の影響が示唆された。以上の結果を踏まえて衛星データを解析したところ、東アジア域において中国中東部のSO_2カラム濃度が有意に極大(約2DU)となっていることがどの季節でも観測された。このようにMAX-DOAS・衛星データを組み合わせた新しい手法によって東アジア域におけるSO_2の3次元分布についての新しい知見を得た。
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