2010 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯海域における植物プランクトン分布と物質循環に対する微小動物の摂餌インパクト
Project/Area Number |
22710027
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
喜多村 稔 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 研究員 (00392952)
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Keywords | 生物海洋 / 動物プランクトン / 摂餌圧 / クロロフィル極大 / 物質循環 |
Research Abstract |
2010年11月および2011年2月になされた調査航海において以下を行った。 ・表層水(0m)および亜表層水(クロロフィル極大深度または相対照度1%深度)を用いた希釈培養実験 ・有光層内の微小動物プランクトン個体数密度測定 11月は成層末期で,表面混合層が0-35m,季節躍層が35-50m,亜表層クロロフィル極大が83mに認められた。微小動物プランクトンによる植物プランクトンへの摂餌速度は,表層水では変動が大きいものの(0.4,0.08 d^<-1>)亜表層水(0.03d^<-1>)よりも高い傾向にあった。一方2月は,0-200mにて鉛直混合するものの50mおよび100m付近に弱い躍層が認められ,クロロフィルは40m以浅でほぼ均一となり亜表層極大は認められなかった。微小動物の摂餌速度は表層水(0.06,0.02 d^<-1>)と亜表層水(0.01 d^<-1>)でほぼ変わらず摂餌圧はほとんどかかっていないと判断された。 11月の結果は,本研究を開始するにあたってたてられた仮説「亜熱帯外洋域では,表面混合層とクロロフィル極大層で基礎生産力(表層で高,極大層で低)と植物プランクトン炭素現存量(表層で低,極大層で高)にミスマッチがあり,このミスマッチには微小動物プランクトンの摂餌によるトップダウン効果が働いている(表層で大,極大層で小)」を支持し,このトップダウン効果は恒常的には働いていないことが考えられた。今後,成層期のデータを増やして再現性を確認する必要があり,2011年7月に予定されている航海で取得する予定。亜表層クロロフィル極大の形成されない混合期のデータは成層期との比較対象にする。
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