2011 Fiscal Year Annual Research Report
島嶼における生物多様性優先保全地域の選定および外来生物の影響評価手法の開発
Project/Area Number |
22710031
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
郡 麻里 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 客員研究員 (10446388)
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Keywords | 生物多様性ホットスポット / 優占保全地域 / 重要保全地域 / 潜在的ハビタット / 地理情報システム(GIS) / 絶滅危惧種 / 東京島嶼 / 環境政策 |
Research Abstract |
最近、日本の固有生物や絶滅危惧種の保全対策の一つとして、侵略的外来生物の影響の及ぶ範囲のハザードマップを作成する研究や事業が見られるようになった。しかし、ホットスポットの選定過程等で見られる様な、相方が「現在」分布している地域のみを参考に保全地域を選定したり将来の分布を予測する研究手法には問題がある。効率的であるのみならず、より有効な保全戦略を進めるためには、保全対象種のかつての分布地域とその環境の変遷パターンについても考慮する必要がある。過去の自然災害や人為的撹乱イベントの影響が時間差をともなって表れる場合があるためである。本研究では、将来の生物の絶滅確率を減らすために、過去の分布と現在の分布を比較し、地域絶滅の原因をあらかじめ探ることで、より長く広い時空間での影響を考慮した、新たな優先保全地域の選定の手法を検討した。絶滅危惧IBに指定されている小笠原諸島のトキワガマズミをモデルにその生息地の特性や過去の分布パターンを調べたところ、母島ではこの100年のうちに地域個体群が絶滅したことがうかがえた。父島のトキワガマズミの個体群については北硫黄島の個体群ともかつて交流があったことが予備的遺伝解析で明らかとなったことから、母島での絶滅の原因を生育地の環境から検証することで、本種の今後の有効な保全対策および種としての有効な保全単位と保全対象区域の規模について科学的に明らかにするための事例研究とすることができた。 ある特定の絶滅危惧種の分布にこだわることで、他種や近縁種についての有効な保全単位についても検討することにつながるため、このようなアプローチは今後も重要となると思われる。本内容はEAFES5/日本生態学会第59回大会において公表し、一般に向けて重要保全地域の選定に関する手法の提案に貢献した。
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Research Products
(1 results)