2011 Fiscal Year Annual Research Report
衣服・粒子への吸脱着を介した防虫剤用途の化学物質の動態解析および曝露評価
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22710037
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
篠原 直秀 独立行政法人産業技術総合研究所, 安全科学研究部門, 研究員 (50415692)
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Keywords | p-ジクロロベンゼン / 防虫剤 / 衣服 / 曝露 / 吸脱着 / チャンバー / CFD |
Research Abstract |
衣類を設置したチャンバーの中に一定濃度・一定流量のp-ジクロロベンゼンを導入し、チャンバー出口側で排出される空気を一定時間ごとにTenaxチューブで捕集した。一定時間経過後、同流量の純空気をチャンバー内へ導入し、上記と同様に一定時間ごとの捕集を行った。サンプリングを行ったチューブはTD-GC/MSで分析し、p-DCBの定量を行った。結果を理論式にフィッティングさせ、吸着速度定数ka脱着速度定数kdなどを求めた。 吸脱着に関する書籍や文献を参考に、以下の5種の理論式として、モデル(1)(吸脱着の基本的な式,VdC/dt=QCinlet-QC-AdM/dt,dM/dt=kaC-kdM)、モデル(2)(吸着残サイトの項目を追加した式,VdC/dt=QCinlet-QC-AdM/dt,dM/dt=kaC(Mmax-M)/Mmax-kdM)、モデル(3)(吸着後に内部拡散していくと仮定した式,VdC/dt=QCinlet-QC-AdM1/dt,dM1/dt=kaC-kdM1-dM2/dt,dM2/dt=kdif(M1-M2))、モデル(4)(Freundlichの吸着等温式を適用した式,VdC/dt=QCinlet-QC-AdM/dt,M=KC1/n)、モデル(5)(境膜理論から考えた式,VdC/dt=QCinlet-QC-AdM/dt,dM/dt=h(C-Cs),K=M/Cs)を検討した。 ブランクでは、モデル(1)(5)、モデル(2)、モデル(3)へのフィッティングの際のKeqは、0.066及び1.1及び0.066となった。モデル(4)へのフィッティングはKs及びnは0.070±0.052m/h及び5.0となった。それに対し、t-シャツでは、モデル(1)(5)、モデル(2)、モデル(3)へのフィッティングの際のKeqは、2.6及び5.2及び2.6となった。モデル(4)へのフィッティングはKs及びnは3.0及び1.0となった。スエットでは、モデル(1)(5)、モデル(2)、モデル(3)へのフィッティングの際のKeqは、10及び232及び10となった。ブランク時の金属表面目の吸着と比べて、衣服へははるかに吸着量が多いことや脱着は比較的早く進むことなどが確認できた。 衣服を防虫剤入り衣装ケースから出してすぐに着衣し、12時間過ごした場合の吸入曝露量をCFD解析で求めたところ、厚生労働省の室内濃度指針値を大きく上回る曝露になる可能性が示唆された。また、24時間以上室内で養生すれば、着衣時の曝露量は劇的に軽減し、問題はなくなることも分かった。
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