2010 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化による生態系変化及び適応策の経済評価に向けた空間的応用一般均衡モデルの開発
Project/Area Number |
22710040
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
中嶌 一憲 兵庫県立大学, 環境人間学部, 講師 (70507699)
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Keywords | 気候変動 / 生態系変化の経済評価 / 空間的応用一般均衡モデル / 地域間産業連関表 / 多段入れ子型CES関数 / 土地利用 / 時空間スケールの整合性 / シミュレーション分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、温暖化影響による生態系サービスの変化及びその適応対策の経済評価を行うために、経済モデルと物理モデルとの空間的・時間的スケールを整合した空間的応用一般均衡モデルの開発とシナリオを用いたシミュレーション分析を行うことである。本年度においては、データベース及び空間的応用一般均衡モデルの理論モデルの構築を目的とする。本年度の研究成果は以下の通りである。 第1に、データベース構築において、基準年の均衡状態を再現するために石川(2009)による47都道府県間地域間産業連関表を基本として地域間産業連関表を作成した。ここでは、非競争移入型・競争輸入型地域間産業連関表とし、47都道府県を対象に、24産業部門分類とした。特に、生態系に関連する第1次産業は農業、林業、水産業を、またCO2排出に関連するエネルギー部門は電力、石炭、原油・天然ガス、石油製品、石炭製品を区分した。都道府県別CO2排出量は都道府県別エネルギーバランス表を基に作成した。 第2に、生態系サービスの変化が経済活動に及ぼす影響を評価するために理論モデルを定式化した。本研究では、安藤ら(2006)を基礎として理論モデルを構築しているものの、各投入要素間の代替性を考慮するために経済主体の関数形として多段入れ子型CES関数を採用する点などの修正を加えた。さらに、本研究では生態系サービスの変化を表現するために生産要素に土地を考慮した。ここで、生産要素としての土地は土地利用空間パターン(開発地区,農地,林地)から各産業部門で投入できる量が異なるものとし、土地利用変化が各産業部門の生産量に影響を及ぼすと仮定した。 第3に、キャリブレーション法によるモデルパラメータの推定及びモデルの現況再現性を行った。
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