2011 Fiscal Year Annual Research Report
炭素隔離技術のマスメディア報道に関する定量的・定性的研究
Project/Area Number |
22710041
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 敦 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (30391064)
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Keywords | 環境政策 / 炭素隔離技術 / マスメディア / フレーミング / 気候変動 |
Research Abstract |
今年度は朝日新聞を対象にした新聞報道のフレーミング分析を行った。対象期間は1990年から2010年である。コーディングを行ったのは主に次の項目についてである:主要なトピックは何か?;どのアクターが引用されているか?;主要なフレーミング(CCSをポジティブに扱っているのか、ネガティブに扱っているのか);CCSに関する主要な論点はカバーされているかどうか。 対象期間では、基本的に記事数が10以下であったが、2008年の洞爺湖サミットの前後に記事数が増加していった。主なトピックは以下のとおりである。1990年から1997年までは日本の技術開発がメイントピックである記事が多かった。1998年から2005年までは日本と外国で行われたCCSのパイロットプロジェクト(長岡やスライプナー・プロジェクト)が中心となり、2006年以降は、日本の国内政策や気候変動枠組条約のCCS交渉、IEAやIPCCなどの国際機関の報告書が中心的なトピックであった。 フレーミングに関しては、記事の70%はポジティブにCCSを捉えているものであった。CCSのリーケージ・リスクに関する記事はほぼ皆無である一方で、CCSの技術移転に関しては強く支持する記事があった。その他の支配的なフレーミングとしては、「革新的技術としてのCCS」、「大規模CO2削減技術としてのCCS」、「技術先進国としての日本」が挙げられる。引用されていたアクターは、官僚や政府、産業アクターや研究者が中心であり、環境NGOに関する引用はなかった。外国アクターとしては、アメリカやヨーロッパ(特にノルウェー)、中国、インド、IEAとIPCCの国際機関に関する引用が多かった 今後は、すでにデータを収集している他の新聞記事や政策文書と併せてフレーミング分析を行い、政策的含意を導くことが課題となる。
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