2010 Fiscal Year Annual Research Report
有害危険物質拡散災害時の影響評価のための都市詳細拡散予測手法に関する研究
Project/Area Number |
22710051
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
中山 浩成 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究員 (50535903)
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Keywords | 大気乱流 / 大気拡散 / 有害危険物質 / 数値シミュレーション / 簡易形状建物群 / 瞬間高濃度出現特性 |
Research Abstract |
都市域内での有害危険物質の拡散解析手法の確立を目指すため、ファーストステップとして、個々の建物が整形配列された建物群内での点源放出による乱流拡散場のLarge-Eddy Simulation(LES)乱流モデルを用いた非定常数値解析を実行し、拡散風洞実験結果と比較した。まず、本研究で提案された境界層乱流生成手法により、LES数値シミュレーションで得られた接近流が、風洞実験結果や観測から報告されている大気乱流特性に良好に対応することが分かった。これにより、本乱流生成手法は、各種大気乱流場を再現できることが実証された。 次に、拡散場については、地表近傍における平均濃度・変動濃度の標準偏差の水平分布を実験結果と比較すると、定量的によく一致した結果が得られた。また、ピーク濃度(濃度変動の累積頻度分布から上位1%の値として算出)については、建物が密集した場合では良好に実験結果と一致したものの、建物がやや疎らに配置した場合では、ピーク濃度がやや過大評価されている箇所も見られた。しかしながら、建物の配列密度が大きくなるにしたがい、ピーク濃度値は場所によらずほぼ同程度の値になる傾向は、実験結果と一致した。これにより、本研究で開発された拡散モデルは、大気拡散の基本的な特性は再現できたものと判断される。 本成果から、国内外での学会、ならびに、論文発表を行った。都市における有害危険物の拡散問題が社会の関心を集めている中で、複雑乱流場の中での濃度分布パターンや瞬間高濃度を的確に予測モデルを構築していくことは、今後ますます重要性が高まっていくものと考えている。
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Research Products
(3 results)