2011 Fiscal Year Annual Research Report
損傷乗り越えDNA合成の制御異常と放射線発がん、化学発がんの寄与
Project/Area Number |
22710055
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
笹谷 めぐみ 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (80423052)
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Keywords | 放射線 / マウス / 発がん / 損傷乗り越え修復 / 細胞、組織 / 化学物質 |
Research Abstract |
放射線、紫外線の重大な生物影響の1つに発がんがある。放射線発がんの分子機構解明は、発がんリスク評価においても重要な役割を果たすと考えられる。これまでに、原爆被ばく者で誘発された固形がんを用いた遺伝子解析が行われているが、特徴的な遺伝子変化は検出されておらず、自然誘発がんで検出される点突然変異が数多く検出されている。そこで我々は、点突然変異を誘発する機構として知られている損傷乗り越えDNA合成機構で中心的な役割を果たしているRev1に着目した。Rev1は、他の損傷乗り越えDNA合成を行うポリメラーゼと異なりポリメラーゼ活性はなく、dCTPを基質とするデオキシシチジルトランスフェラーゼ活性を持つ。また、Rev1が欠損すると様々な損傷に対して感受性を示し、突然変異の誘発が抑制することが報告されているが、この機構にはRev1のもつデオキシシチジルトランスフェラーゼ活性は必要でないことが報告されている。昨年度は、Rev1の機能を欠失させた遺伝子改変マウスを用いることで、損傷乗り越えDNA合成機構による突然変異誘発が発がんに及ぼす寄与について検討し、Rev1の機能ドメインの1つは化学物質に対する発がんには関与しないことを明らかにした。 本年度は、Rev1の機能を欠失させた遺伝子改変マウスを用いて発がん実験を行い、2か月間飼育し、得られる腫瘍について解析を行った。結果、Rev1の機能を欠失させたマウスと野生型マウスでは同程度の腫瘍形成が観察された。さらに、得られた腫瘍を用いてがん関連遺伝子の突然変異を解析したが、Rev1の機能を欠失させたマウスと野生型マウスに誘発された腫瘍から検出された突然変異、またその変異スペクトラムに差はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の交付申請書の研究実施計画書に沿って研究を行った。実験に必要なマウスの数を準備するのに時間がかかったものの、期間内に目的の研究結果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、本年度で得られた知見の確証を得るために、Rev1の機能を欠失させたマウスと大腸発癌モデルマウスとの掛け合わせを行い、発がん研究を遂行する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] 恒常的な放射線照射に対する細胞応答の線量率依存性の解析2012
Author(s)
河合秀彦, 曹麗麗, 飯塚大輔, 松井啓隆, 金井昭教, 稲葉俊哉, 増田雄司, 笹谷-豊島めぐみ, 神谷研二, 鈴木文男
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Journal Title
広島医学
Volume: Vol.65, No.4
Pages: 302-304
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