2010 Fiscal Year Annual Research Report
In vitro毒性試験に必要十分な再構築型細胞組織の極小化限界を探る
Project/Area Number |
22710062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小森 喜久夫 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (60431813)
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Keywords | 細胞組織チップ / 毒性評価 / 組織工学 / 3次元組織 / マイクロファブリケーション / 蛍光イメージング |
Research Abstract |
本研究では、平面上に形成したマイクロウェル構造を利用して、三次元細胞組織の大きさを数十個細胞レベルから数千~数万個レベルまで広範な領域で変え、生体内での主要な毒性発現メカニズムと応答とを再現するのに必要十分な細胞組織の極小化限界(閾値)を明確にすることを目指している。作製したマイクロウェル構造を持つポリジメチルシロキサンシート上で細胞を培養したところ、マイクロウェルの直径が小さくなるほど、高さ方向に細胞増殖が進行し、培養3日目以降で停止した。一方、マイクロウェルの直径が大きくなるほど、2次元に近い組織を形成した。このようにして得られた培養5日目の三次元組織を用いて、肝機能のサイズ依存性を調べたところ、直径200μm以上の組織の肝機能は、直径63μmのものよりも3-5倍高くなった。つまり、直径63μmと200μmの間に、肝機能の閾値が存在した。次に、チトクロムP450(CYP) 1A1/2によって代謝されるとより強い毒性を示す天然の発ガン性物質アフラトキシンB1(AFB1)の毒性を、細胞生存率を指標として調べた。予測通り、AFB1の毒性はCYP 1A1/2の活性に依存した。直径200μm以上でのAFB1用量作用曲線は、直径63μmのものよりも1桁低濃度側にシフトし、一般的に用いられる96穴プレート(1穴の直径6400μm)と同等であった。以上から、間接的変異原などの毒性試験に必要十分な三次元肝組織は直径200μm(このときの高さ65μm)のものであり、このときの細胞数はおおよそ500個と見積もられた。この数字は、96ウェルプレートの1ウェル内に高密度で単層の細胞が存在するときの細胞数の500-1000分の1に相当することが明らかになった。
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