2010 Fiscal Year Annual Research Report
重金属による紫外線発がんの増強ーヒストン修飾から解くDNA損傷生成・修復率の変化
Project/Area Number |
22710065
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
豊岡 達士 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教 (40423842)
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Keywords | 紫外線 / 重金属 / ヒストン修飾 / DNA損傷 |
Research Abstract |
本研究の目的は、重金属が紫外線によるDNA損傷の生成、及びその修復を変化させるのか否か、また、それにはヒストン修飾変化が関与しているのか否かを明らかにし、皮膚がん罹患率上昇の原因の一端を解明することである。本年度は、ヒストン修飾を誘導する重金属の選定を行うと同時に、金属自身によって誘導されるDNA損傷をヒストンH2AXのリン酸化に着目して検討した。第二種特定有害物質に該当する重金属、カドミウム、クロミウム、セレニウム、鉛、銅、ニッケル、コバルト、亜鉛をヒト皮膚角化細胞HaCaTに作用させ、ヒストンH3のアセチル化及びリン酸化について検討した。アセチル化には大きな変化が観察されなかったが、リン酸化においては検討した金属全てについて誘導が確認された。中でも、カドミウム、ニッケル、コバルトでは顕著なリン酸化誘導が確認された。また、金属粒子として二酸化チタン及び銀についても同様のヒストン修飾を検討したところ、両粒子ともにヒストンH3のリン酸化を強く誘導することを明らかにした。これらの結果は、金属を作用させるとヒストンの修飾が起こり、クロマチンの高次構造が変化していることを示唆しており、紫外線照射によって生成されたDNA損傷の修復酵素による発見・認識が困難になるなど、その修復率に影響を与える可能性があると考えられる。一方、金属自身によってDNA損傷が誘導される可能性もある。各種金属粒子についてリン酸化ヒストンH2AXの誘導を検討した結果、二酸化チタン、銀、銅、亜鉛粒子等でヒストンH2AXのリン酸化が誘導されることを確認した。特に銀粒子については、トポイソメラーゼIIの阻害を介してリン酸化を誘導することを明らかにした。本年度の研究より、重金属は、ヒストン修飾変化、及びDNA損傷を誘導することが明らかとなり、これらの事象は紫外線によるDNA損傷の修復に影響を与え、細胞の変異及び発がんの亢進の原因となる可能性があると考えられた。
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