2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNA付加体1分子による遺伝子変異解析系の構築と閾値の存在の検証
Project/Area Number |
22710068
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
安井 学 国立医薬品食品衛生研究所, 主任研究員 (50435707)
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Keywords | トキシコロジー / DNA付加体 / 閾値 / 遺伝子変異 / ターゲティング |
Research Abstract |
研究代表者は,DNA付加体8-オキソグアニン1分子をヒトTK6細胞のチミジンキナーゼ(TK)遺伝子のイントロン4に部位特異的にインテグレートさせることに成功し,Targeted Mutagenesisという新しい手法を確立した。そのゲノム上の8-オキソグアニンの運命を定量的に解析し,突然変異を起こしやすい部位とそうでない部位の存在を確認した。予備実験として,さらにエキソン5内にもそれを導入したが,類似の結果が出始めている。そこでエキソン内で突然変異を起こしやすい塩基部位を見つけ出し,わずかDNA付加体1分子で起こるTK遺伝子変異の解析系を構築することを目的とし,最終的には,遺伝毒性発癌物質の低用量域における閾値の有無の検証および形成機構を明らかにすることを目標とする。 これまでに,8-オキソグアニンだけでなく,1,N6-エセノアデニンDNA付加体もTK遺伝子のイントロン4とエキソン5の特定部位に導入して解析した。8-オキソグアニンを導入した解析結果と比較したところ,やはり1,N6-エセノアデニンについても,突然変異を起こしやすい部位とそうでない部位の存在を確認することができた。しかしながら,8-オキソグアニンおよび1,N6-エセノアデニンDNA付加体は,TK6細胞内ではミューテーション頻度がわずか数十%程度であり,前述の新しい現象の証明としては未だ不足していると考えられる。よって,次年度はさらなる再現性の確認と本現象の信憑性について調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに進行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
突然変異を起こしやすい部位とそうでない部位の存在を再度確認するために,8-オキソグアニンおよび1,N6-エセノアデニンよりも高いミューテーション頻度を示すDNA付加体を探さなくてはならない。しかしながら,市販で利用できるDNA付加体が限られている中,それを探しだし,それを含むDNAオリゴマーの合成を行うことが困難な点であると言える。第一候補としては,キサンチンDM付加体である。これは8-オキソグアニンよりも高頻度にミューテーションを誘発させるDNA付加体であり,研究代表者は以前にキサンチンを含むDNAオリゴマーを合成した経験があるため実施できると考えている。
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[Journal Article] Acrylamide genotoxicity in young versus adult gpt delta male rats2011
Author(s)
Koyama N, Yasui M, Kimura A, Takami S, Suzuki T, Masumura K, Nohmi T, Masuda S, Kinae N, Matsuda T, Imai T, and Honma M
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Journal Title
Mutagenesis
Volume: 26
Pages: 545-549
DOI
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