2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機系有害化学物質汚染の高効率浄化のための植物‐分解菌共生システムの開発
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22710069
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
遠山 忠 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 特任助教 (60431392)
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Keywords | 環境浄化 / 根圏微生物 / 水生植物 / 内分泌攪乱化学物質 / ノニルフェノール / 分解 / 分解菌 |
Research Abstract |
本研究は、水生植物根圏から内分泌攪乱化学物質分解菌を探索、取得し、その分解菌を植物根圏に再導入させた植物-分解菌共生システムによって内分泌攪乱化学物質汚染水を処理する新しいシステムを開発するための基礎を築くことと、そのシステムの有効性を実証することを目的としている。その目的を達成するため、平成22年度は、1水生植物の根圏から内分泌攪乱化学物質分解菌の分離と取得と、2分解菌の特性と分解機構の解明の研究課題を実施した。 自然の水環境あるいは温室内の水生植物の根圏微生物群集を採取し、内分泌攪乱化学物質分解菌の集積培養を行ったところ、ウキクサ根圏からブチルフェノール分解菌、有機リン系農薬分解菌とニトロフェノール分解菌を、ヨシ根圏からノニルフェノール分解菌、ブチルフェノール分解菌、ビスフェノールA分解菌とピレン分解菌を分離、取得することに成功した。さらに、生理特性試験、化学物質分解実験、遺伝子解析や酵素活性試験を通して、分離した分解菌の基本的な生理特性と化学物質分解メカニズムを明らかにすることができた。特に、ヨシ根圏から分離した4-tert-ブチルフェノール分解菌は、4-tert-ブチルフェノールを資化する世界で初めての細菌であり、非常に価値の高い分解菌を分離、取得することができた。また、分離したこれらの分解菌は、これまでに報告されている分解菌と同等、あるいはそれ以上の高い分解活性を示し、優れた環境浄化触媒として実用性の価値も高いことが分かった。
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