2010 Fiscal Year Annual Research Report
Anammox菌特有蛋白質の機能解明とその遺伝子を利用した反応モニター手法の開発
Project/Area Number |
22710078
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
平 大輔 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 特定事業研究員 (00569890)
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Keywords | Anammox / ヘム蛋白質 / 嫌気性アンモニア酸化 / 脱窒 / 窒素除去 |
Research Abstract |
排水・環境水中からの効率的な窒素除去法として期待されているAnammox排水処理プロセスの安定管理法の構築を目指して、1.Anammox菌が特有にもつヘテロ2量体ヘム蛋白質を対象としてAnammox反応の詳細な理解を進め、2.本蛋白質の遺伝子をターゲットとした遺伝子レベルでのAnammox反応モニター法を開発することを目的とした。本鞭は、まず当研究グループが蓄積してきた5種類のAnammox菌汚泥よりゲノムDNAを抽出し、PCRによりヘテロ2量体ヘム蛋白質遺伝子を増幅・クローニングし、その塩基配列解読を行った。得られた複数のAnammox菌由来ヘテロ2量体ヘム蛋白質遺伝子の塩基配列を比較するとヘム結合モチーフ、ヘムの第6配位アミノ酸と想定されるシステイン残基がすべての配列で保存しており、これらにより形成されると推定されるHis/Cys配位のc型ヘムが本蛋白質の機能にとって重要であることが推定された。さらにこの遺伝子を用いて、大腸菌による蛋白質発現系を構築するとともに、ヘテロ2量体ヘム蛋白質のサブユニットそれぞれを別々に発現する系も構築し、精製して得られた発現蛋白質をキャラクタリゼーションした。これらの実験より、ヘテロ2量体ヘム蛋白質の酸化還元電位はヘムへのシステイン配位が大きな要因であること、さらにサブユニット間の相互作用によって酸化還元電位がより低下していることが推定された。今後はこれら得られた知見をもとにAnammox反応におけるヘテロ2量体ヘム蛋白質の機能を考察するとともに、real-time PCRによるヘテロ2量体ヘム蛋白質遺伝子発現の定量法の構築を行う予定である。
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