2011 Fiscal Year Annual Research Report
CO2ハイドレート蓄熱システムの開発に向けた基礎研究
Project/Area Number |
22710081
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
牧野 貴至 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学システム研究センター, 研究員 (70455153)
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Keywords | ガスハイドレート / 蓄熱技術 / 二酸化炭素 / 相平衡 / 省エネルギー |
Research Abstract |
CO2ハイドレートを利用する省エネルギー・省スペースな蓄熱システムの開発を目指す。一般的にガスハイドレートは、平衡温度付近では発生せず、その発生のために大きな過冷却環境を必要とする。製造に要するエネルギー量が多くなるため、過冷却を抑制することが求められる。そこで、本年度は、二酸化炭素の溶解量が大きく、界面活性剤としても機能するイオン液体に注目し、二酸化炭素+イオン液体水溶液を対象として、ガスハイドレートの安定存在条件、ガスハイドレートの融解エンタルピーを測定した。また、当初は高圧示差走査熱量計を用いて過冷却抑制効果を評価する予定であったが、震災の影響で実験を遂行できなかったため、相平衡測定装置を用いて、ガスハイドレート発生までの時間(誘導時間)により、間接的に過冷却抑制効果を評価した。イオン液体の濃度が1mol%を超えると、蒸留水系と比べてガスハイドレートの分解温度が低下(製造圧力の上昇)するが、0.1mol%程度では変化がないことを明らかにした。したがって、0.1mol%程度の濃度であれば、製造圧力を高くすることなく、ガスハイドレートを製造可能である。また、相平衡条件に変化がないことから、ガスハイドレートの融解エンタルピーも、蒸留水系と同等であることが分かる。二酸化炭素+0.1mol%水溶液系で誘導時間を測定したところ、イオン液体を添加することで、誘導時間を、蒸留水系の1/2から1/3程度に抑制できることを見出した。すなわち、イオン液体を用いることで、製造時の過冷却の抑制が可能である。また、誘導時間はイオン液体の種類に依存しており、イオン液体の最適化により、製造に要する時間とエネルギーを、さらに低減できる可能性がある。
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