2011 Fiscal Year Annual Research Report
燃料電池用メソポーラスカーボン-酵素複合触媒の創製
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22710082
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 灯 九州大学, 水素エネルギー国際研究センター, 准教授 (60443214)
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Keywords | バイオ燃料電池 / 酵素 / カーボン多孔体 / 電気化学 / 酸素還元 |
Research Abstract |
環境調和型化学システムの確立に向けて、従来研究であるメソポーラスカーボンを用いた燃料電池触媒研究の特徴を活かし、新たに酵素を組み合わせることで、次世代を担う触媒開発を試みた。酵素の中でも高い酸素還元特性が報告されているマルチ銅オキシダーゼを、カーボンのナノ空間に導入することで、メソポーラスカーボン-酵素複合触媒を作製した。 平成23年度の実施計画の一つ目として挙げていた"メソポーラスカーボン-酵素の複合材料の活性・耐久性評価"に取り組んだ。平成22年度の研究成果として、8nmのナノ空間にラッカーゼ酵素を導入した場合に、30nm以上の空間内に比べ、ラッカーゼの固定化量は少ないが酵素活性が非常に高いことを見出しており、平成23年度は更に8nmナノ空間内での耐環境性について検討した。ナノ空間内で安定化されたラッカーゼは有機溶媒(メタノール)に対する効果が大きく向上し、50%メタノールに30分浸漬した場合に、ラッカーゼ単身では活性がゼロになるのに対して、8nmのナノ空間内では、80%の活性を維持することができた6。また、30nm以上の空間では、30~50%程度の活性しか維持できないことから、8nmのナノチャンネル構造が耐久性に関しても有効であることが分かった。 平成23年度の実施計画の二つ目として"燃料電池カソード触媒としての活性評価"を行った。平成22年度は、メソポーラスカーボンーラッカーゼ複合材料の酸素還元活性が上手くあがらず、平成23年度はバインダーの検討やメディエータの使用を検討した。メディエータとして硫酸銅を添加することで、酸素還元電流応答の改善が見られた。また、酵素電気化学反応において、固定化された酵素のオリエンテーションが重要であることが分かった。アントラセンをカーボン上に固定し、ラッカーゼのオリエンテーションを制御することで、より高い酸化還元電流応答を得ることができた。
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