2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物由来芳香族ヒドロキシ酸の重合による高強度・高耐熱性プラスチックの創製
Project/Area Number |
22710084
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
石井 大輔 龍谷大学, 理工学部, 助教 (70415074)
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Keywords | フェルラ酸 / グリコール酸 / ポリエステル / 重縮合 / 液晶性 / 分子量 / アセチル化 / 熱可塑性 |
Research Abstract |
本年度は無水酢酸/酢酸ナトリウム中でのアセチル化とそれに続く重縮合によるフェルラ酸とグリコール酸の共重合ポリエステル化に関して、熱可塑性および液晶性を維持しながら分子量を増大させるための作製条件の検討を行った。1段目のアセチル化のための反応条件を160℃・18時間で固定し、2段目の重縮合における反応温度とフェルラ酸:グリコール酸のモル比を変数として検討した。フェルラ酸とグリコール酸のモル比を50対50とし、重縮合温度を160℃から180℃(時間は26時間で固定)とすることで、共重合体の分子量は700から最大8000まで増大したが、低分子量の際に見られた液晶形成能及び熱可塑性は高分子量化により失われた。これは剛直性およびπ-π相互作用の大きなフェルラ酸の分率が大きすぎるためであると考え、フェルラ酸の分率を5部ずつ低下させて160℃ないし180℃で重縮合を行った。その結果いずれの温度においてもフェルラ酸分率が35%以下で熱可塑性が発現した。この時得られた共重合体の分子量は概ね2000程度であった。さらに、30%・160℃の条件で作製した共重合体では130℃から160℃で液晶相の発現が見られた。一方、フェルラ酸分率が25%の場合は常温で液状の生成物が得られ、分子量も数百程度にとどまった。以上のことからフェルラ酸・グリコール酸共重合ポリエステルが熱可塑性および液晶性を発現する範囲は分子量の増大と共に狭まることが明らかとなった。一方で目標としていた分子量一万程度に達するには反応条件のより詳細な検討が必要であることも新たな課題として判明した。次年度以降、アセチル化の際に用いる塩基の変更(重縮合時に留去可能なピリジン等への変更)および重縮合反応における温度及び真空度の最適化を行い、目標とする分子量一万以上の共重合体作製を目指す。
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Research Products
(5 results)