2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物由来芳香族ヒドロキシ酸の重合による高強度・高耐熱性プラスチックの創製
Project/Area Number |
22710084
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
石井 大輔 龍谷大学, 理工学部, 助教 (70415074)
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Keywords | フェルラ酸 / グリコール酸 / カフェ酸 / 重縮合 / 融点 / ガラス転移温度 / 液晶 / 動的粘弾性 |
Research Abstract |
今年度は芳香族ヒドロキシ酸-脂肪族ヒドロキシ酸共重合体の耐熱性・力学特性の検討を主要な研究の目的として設定し、そのために以下二点のサブテーマに関して検討を行った。 (1)フェルラ酸・グリコール共重合体(PFG)およびポリカフェ酸(PCA)の大量合成条件の検討 高分子材料の耐熱性および力学特性の検討を行うには10gオーダーでの試料調製が必要となる。このことを鑑みフェルラ酸・グリコール酸の共縮重合およびカフェ酸の重縮合のスケールアップを試みた。その結果、カフェ酸23gからPCA21g(収率約90%以上)という高収量での合成に成功した。また分子量に関しても最大100万という高分子量体の合成に成功した。一方PFGに関しては減圧下での重縮合時にグリコール酸モノマー成分の脱離が起こることで収率や分子量が頭打ちになることが判明した。以上のことから、特に多量の試料を必要とする力学特性に関してはPCAを中心に検討を行うこととした。 (2)PFGおよびPCAの耐熱性および力学特性の評価 耐熱性に関しては数mg程度の微量での検討が可能なため、PFGおよびPCAの両方に関して検討を行った。PFGに関しては分子鎖中のフェルラ酸分率が高いほど、またPCAについては高分子量であるほど熱分解開始温度が上昇することが見出された。相転移温度(ガラス転移温度、融点)についてはPFGおよびPCAのいずれに関しても分子構造との強い相関は見い出されなかった。一方PCAに関しては平均分子量1000程度のオリゴマーでは単一の融点が観測されたのに対し、平均分子量9万・多分散度18のものでは160℃付近でのずり流動下で溶融配向による液晶相の発現が観測された。さらに高温かつ長時間重縮合を行ったものでは架橋による不融化が起こったが、加熱下のせん断場において液晶配向が観測される液晶エラストマー様の挙動が観察された。この液晶エラストマー様のPCAについてホットプレスによりフィルム状試料を作製し、動的粘弾性測定を行った。その結果120℃付近までほぼ一定の貯蔵弾性率(2GPa)を示し、ガラス転移に伴い弾性率は低下するものの、300℃においても1MPa程度の高い弾性率を維持することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フェルラ酸・グリコール酸共重合体に関しては共重合体中でのモノマー組成の制御や高分子量化に関してなお課題が残っているものの、ポリカフェ酸に関しては高収率合成や高分子量化、耐熱性および力学的特性の評価など、所期の目的を達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
フェルラ酸・グリコール酸共重合体に関しては重縮合条件の改良(減圧下での加熱が可能なイオン液体を媒体とする重縮合による分子量増大の試み)や脂肪族ヒドロキシ酸オリゴマーとの共重合によるモノマー組成の制御を行う。ポリカフェ酸に関しては当初の計画通りに進めていく。
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Research Products
(8 results)