2011 Fiscal Year Annual Research Report
固-液界面の液体吸着構造制御による新規ナノ潤滑機構の研究
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22710093
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水上 雅史 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (60333902)
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Keywords | トライボロジー / 表面・界面物性 / 固-液界面 / 吸着 / 潤滑 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、非極性溶媒中のシリカ表面に吸着したアルコールなどの水素結合性液体分子が、表面から水素結合によりつながった厚さ数10nmにおよぶ規則構造を形成することを見いだしている(界面分子マクロクラスター)。また、界面分子マクロクラスターが形成された表面間には、5nm以下の近距離で、液体構造に起因する強い斥力が働くことを明らかにしてきた。この現象は、低分子・低粘度の液体の吸着層でありながら高負荷下でも安定に存在し、固体表面の直接接触を避ける機能を実現したものである。本研究では、吸着分子種により界面分子マクロクラスターの構造・厚みを制御し、その力学特性との相関を解明し、この知見に基づき、液体ナノ薄膜による高潤滑とその分子論的な制御を実現する新しい方法論の確立を目的としている。評価法として、距離を連続的に制御しながら液体ナノ薄膜の摩擦・潤滑特性を調べることができるナノ共振ずり測定法を用いる。 平成23年度は、表面力および共振ずり測定により、界面分子マクロクラスターの潤滑特性の評価を開始した。具体的には、エタノール-シクロヘキサン2成分液体中のガラス表面間の表面力測定を行い、エタノールをシクロヘキサンに微量添加すると、ガラス表面間の距離が数nm以下で斥力の増大を観測することができた。これは、エタノールマクロクラスター形成による構造斥力と考えられる。またこのとき、表面をより強く押しつけるほど接着力が増大することが分かった。これらの結果より、界面分子マクロクラスターの形成が確認されたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従って、平成22年度は小容量かつ密閉状態型で溶液交換可能なチャンバーの設計・作製、および液中で動作可能な共振ずりユニットの設計・製作・動作テストを行い、平成23年度は、表面力および共振ずり測定により、界面分子マクロクラスターの潤滑特性の評価を開始しており、(2)おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、引き続き、表面力・共振ずり測定により、マクロクラスター吸着層による潤滑特性の表面間距離・垂直負荷依存性を評価する。特に、クラスター層の構造の斥力により高い垂直負荷条件においてもガラス表面間の直接接触を避けて、潤滑特性が維持されるかどうかの検討を進める。
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