2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22710097
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 治之 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80565820)
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Keywords | 中空シリカ粒子 / リポソーム / 静電相互作用 / ベシクルテンプレート法 / ラズベリー構造 / 水相合成 |
Research Abstract |
脂質ベシクル(リポソーム)を用いたベシクルテンプレート法により、水溶媒中でラズベリー構造の中空シリカ粒子の合成に成功した。これはリポソーム懸濁液にシリカ原料とアンモニアを添加するだけの簡便な手法である。ベシクルを用いた中空シリカ粒子の合成において、前処理の必要性や長い反応時間(数日間)が問題となっていた。本合成ではアンモニアを添加することで反応速度の向上を試み、24時間程度とより短時間で中空シリカ粒子の合成に成功した。また、リポソームに負電荷の両親媒性物質を適切なモル比で導入することで、得られた中空シリカ粒子は凝集することなく分散安定となった。次に、得られた中空シリカ粒子と磁性ナノ粒子との静電相互作用による複合化を試みた。良好な複合化のためには条件の検討が必要であるが、負電荷の中空シリカ粒子上に正電荷の磁性ナノ粒子が吸着したのを確認できた。 本研究で得られた中空シリカ粒子は、生体適合性の高いリポソームと複合化しておりバイオ分野への応用が可能である。今後は中空シリカ-リポソーム複合体への酵素および磁性ナノ粒子の複合化を試みる。この場合、コイルなどの磁場を用いた誘導加熱により磁性ナノ粒子を加熱でき、温度制御が可能となる。すなわち複合化した酵素の活性を外部から制御できる機能性微粒子の合成が期待できる。さらに、合成した中空シリカシェルの表面は、凹凸のあるラズベリー構造であり、平滑な表面と比べると異なる表面物性が期待できる。
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