2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22710097
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 治之 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80565820)
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Keywords | 中空シリカ粒子 / ラズベリー構造 / リポソーム / ベシクルテンプレート法 / 形態制御 / 水相合成 / 反応pH |
Research Abstract |
ベシクルテンプレート法により、水溶媒中でラズベリー構造の中空シリカ粒子の合成に成功した。これはベシクル表面近傍でシリカナノ粒子が析出することで形成し、また、このようなラズベリー構造のシリカシェルはベシクルテンプレート法で初である。また、本手法は水溶媒中で合成するためバイオ分野へそのまま応用することも可能である。 本年度は、ベシクル上に形成するシリカ層の形態制御を試みた。近年、生体適合性を有するベシクル(リポソーム)表面にシリカ層を有するシリカ-リポソーム複合粒子の合成が試みられている。この複合粒子は、親水性および疎水性物質(薬剤)を封入できるリポソームの特性とシリカの物理的強度を併せ持ち、薬物送達システムへの応用など新規機能性材料として期待できる。ここでシリカ層の形態が、複合粒子の表面物性および生体分子間の相互作用を決定づける重要な因子のひとつと考える。本研究では、塩基触媒であるアンモニアの濃度がシリカ層の形態に与える影響を検討した。その結果、反応pHの違いによりシリカ層がラズベリー構造もしくは平滑となった。これは反応pHにおけるシリカの溶解度が、シリカの析出しいてはシリカ層の形態に寄与することが示唆された。以上より、アンモニア濃度を変えることによりリポソーム表面に形成するシリカ層の形態制御に成功した。今後、磁性ナノ粒子や酵素を複合化する場合にシリカ層の形態の制御も考慮することでより複合粒子の高機能化が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオ分野に応用できるリポソームと無機粒子の複合化に関する知見は深まった。また、リポソーム表面に形成するシリカ層の形態制御に成功しており、これは複合粒子の高機能化の足がかりとなると考えている。リポソームとシリカ複合体のバイオ分野への応用は行われているため、他の研究と比較して新規性および優位性を出すための複合粒子のデザイン(酵素の複合化など)設計を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はシリカ-リポソーム複合粒子への酵素の固定化を行う。ここで、酵素活性の可逆(ON-OFF)制御が重要なポイントである。複合粒子への酵素固定化手法として、(1)シリカ表面への吸着の利用、(2)リポソーム表面(シリカ内部)への固定化の2点を検討し良好な固定化手法を検討する。また、溶液中、リポソーム存在下での酵素活性を評価し、複合粒子に酵素を固定化した場合と比較する。また、結果的には複合粒子へ酵素固定化することにより酵素活性の低下が懸念されるが、耐熱性や安定性を評価することで複合粒子へ固定化することによる有用性を示したい。
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