Research Abstract |
本研究の目的は,ナノ細孔を有するメンブレンの細孔内に,2種類以上の異なった金属ナノチューブを析出させることで,そのナノ細孔から自発的に水が流れだす"ナノポンプ"の開発を目指すものである.まずは,その材料の根本をなす,ポーラスアルミナメンブレン材料の合成法の確立を試みた.本研究では,ポーラスメンブレンの細孔壁に,ナノレベルの厚みを有する金属を析出させるという精密なプロセスが必須であるため,構造(細孔数,細孔径)のそろったアルミナメンブレンを合成することが必要となる.そこで,アルミニウム板の二段階陽極酸化法に着目した.本手法によって,数10~数100ナノメートルの孔径を有するアルミナメンブレンが得られるものと期待できる.種々の浴電圧や浴組成を検討し,100ナノメートル前後の孔径で,綺麗なハニカム構造を有するアルミナメンブレンの合成に成功した.この片面に,金スパッタによって数nmの薄い金薄膜を形成させた.これを作用電極として,対極に白金メッシュ,参照電極として銀-塩化銀電極を用いて,塩化金酸を含む水溶液中で電析を行った.種々の条件を検討した結果,200ナノメートル程度の長さを有する金ナノチューブを,アルミナメンブレンの細孔内に形成することができた,また,本研究では,水の流れの制御材料の一つとしてポーラスチタニアメンブレンが必要となる.そこで,チタン板を用いて既報の陽極酸化を検討したところ,数マイクロメートルの厚みを有するチタニアナノチューブアレイの合成に成功した.
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