Research Abstract |
本研究の目的は,アルミナメンブレンなどの細孔を有する材料の内壁に,2種類の異なった貴金属のナノチューブを連結して成長させる手法の開発と,そのような材料が自発的に水流を生み出すポンプ材料となるかについて検討することである.平成22年度までの成果で,非常にきれいな細孔を有するアルミナメンブレンの合成法の確立と,その内壁に金ナノチューブを固定化することに成功した.そこで本年度では,この金ナノチューブの末端から白金ナノチューブを電気化学的に連結析出する手法について試みた.その結果,用いたアルミナメンブレンの細孔の直径が小さいために,白金ナノチューブを成長させる際に細孔をふさいでしまうという問題が出てきた.そこで,さらに別の合成条件により孔径の大きなアルミナメンブレンを合成し,これに金ナノチューブを固定化させ,これを電極として用いて白金ナノチューブの電気化学的析出を行ったところ,金ナノチューブと連結した白金ナノチューブの存在が示唆された. このように連結することが出来たが,そのナノチューブの長さを制御すること,具体的には長く成長することが困難であったため,ある程度大きなアルミニウムのチューブを用いて,マクロなレベルでその孔内に金と白金のチューブを形成させ,自発作動型ポンプとして作動しうるのかについて検討した.その結果,ポンプとして作動していることを示唆するデータが得られた.しかしながら,生成する酸素などの気体が孔内に生成し,その後の反応を妨げることがわかった.したがって,自発作動型ポンプとしての機能を十分に発揮させるためには,より精密な反応系の設計が必要であることが明らかとなった.
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