2011 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体からなるキラルナノ複合材料-イオン凝集場のダイナミズム-
Project/Area Number |
22710103
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
信岡 かおる 大分大学, 工学部, 技術職員 (10398258)
|
Keywords | ナノ材料 / ナノバイオ / 核酸 / 複合材料・物性 / 超分子化学 |
Research Abstract |
昨年度までにカチオン性ポルフリン-DNA複合体を用いたイオン液体中での不斉反応や非水溶性ポルフィリンとDNAとの相互作用を調査してきた.本年度は,最初に昨年度までの実験結果を総括した.非水溶性ポルフィリン(THPP)銅(II)錯体-DNA複合体をキラル触媒として,イオン液体中での不斉Diels-Alder反応を行った.カチオン性ポルフィリンを用いた場合と比較し,THPPでは,収率,立体選択性,エナンチオ選択性のすべてにおいて改善が見られた.これは,反応基質が疎水性のため,同じく疎水性のポルフィリン触媒と作用しやすいことも一つの要因と考えられ,今後,他の基質や反応に展開することで,詳細が明らかになると共に,キラル触媒としての利用が期待される.また,これまで多様な配列や鎖長からなるサケの精巣由来のDNAを用いて検討してきたが,新たにpoly(dA-dT)_2やpoly(dC-dG)_2を用いて調査した.poly(dA-dT)_2を用いてもイオン液体中では右巻きのC型を形成した.Z型は高塩濃度下でpoly(dC-dG)_2において形成されることが報告されているが,塩であるイオン液体中は当然ながら高塩濃度にもかかわらず,C型のままであった.そこで,イオン液体中でNaClが高濃度になるよう調整したところ,左巻きのZ型形成に成功した.左右異なるキラリティのDNAをイオン液体中で構築できたことは,今後のキラル触媒やキラル材料としての可能性を大きく広げる.また,Z型DNAは通常の水系媒体中でアニオン性ポルフィリンと相互作用することが報告されており,イオン液体中でのDNAとアニオン性ポルフィリン複合体形成も期待される.今後はイオン液体-DNAが創り出すイオン凝集場の独自性を活かすため,ポルフィリンに限らず,多種多様な機能性分子を導入および展開へと研究を進めていく.
|
Research Products
(21 results)