2011 Fiscal Year Annual Research Report
GaAs(111)面上高対称性量子ドットの自己形成に関する研究
Project/Area Number |
22710107
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
間野 高明 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, 主任研究員 (60391215)
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Keywords | 量子ドット / ガリウム砒素 / もつれあい光子 / 自己形成 / 量子情報 / 液滴 |
Research Abstract |
本年度は、(111)A基板上の量子ドット作製条件最適化をさらに進めるとともに、その光学特性の探索を行った。これまでガリウム液滴の結晶化温度は、200度に固定していたが、この温度を上昇させる事により、結晶化後のナノ構造の形状が大きく変化する事を見いだした。200度から300度の低温で結晶化すると、半球状~六角形の量子ドットが形成されるが、400度以上の高い温度で結晶化すると、非常にきれいな正三角形の量子ドットが形成される事が分かった。これは、(111)表面上に存在する二種類にステップの特性が異なることによる。低温ではガリウムの拡散長が十分長く無いため、どちらのステップでも結晶成長が起こって、六角形になるのに対して、高温の結晶化では、一方のステップ端での成長は殆ど起こらずガリウム原子がもう一方のステップ端に移動して結晶化するため、最終的に等価な3つのステップで囲まれた三角形状の量子ドットが形成される。光学特性に関しては、初めにマクロ的な測定を行ったところ、多数のピークを持つ発光特性が観察された。これは、量子ドットの高さが原子層単位で異なる量子ドットの集団が形成されている事によることが、理論計算結果との比較により分かった。続いて、単一量子ドットの分光測定により、微細構造分裂幅の評価を行った。従来の(100)表面上に形成した量子ドット異なり、(111)A面上の量子ドットでは、面内対称性が大幅に改善された事により、すべての波長範囲で極めて小さい分裂幅となっている事が確認された。また、結晶品質の向上により、極めて強い発光が得られる事も明らかとなった。これらの量子ドットを用いた、もつれあい光子対の発生に関しては、実験を開始して、予備的な知見を得た。また、副次的な成果として、液滴エピタキシー法を用いて、レーザー電流注入発振、量子細線形成などを達成した。
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