2010 Fiscal Year Annual Research Report
多探針走査プローブ顕微鏡によるナノリボンエッジの電気伝導機構の解明
Project/Area Number |
22710108
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
久保 理 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (70370301)
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Keywords | 多探針電気計測 / 走査プローブ顕微鏡 / グラフェン / ナノリボン |
Research Abstract |
シリコンデバイスをはじめとした従来の電子デバイスでは、原子の集合体としての材料特性を利用している。しかし、原子の数が少なくなると集合体とは異なる特性を示すことが予測され、その特性が利用できれば電子デバイス性能の飛躍的向上につながる可能性がある。本研究では、高速・高周波動作、光透過性、柔軟性などの特徴から次世代電子材料として期待されているグラフェンを微小に切り出した時の「端」であるエッジに注目し、その特性を検討する。特にナノサイズの幅を持つリボン状グラフェン(GNR)では、エッジの構造で半導体になるかどうかが決まり、また、自発スピンによる磁気特性の電気的制御の可能性も理論的に予測されている。一方、従来の材料研究では、電気伝導特性を計測するために電子線リソグラフィー等の手法を用いて電極を作りこむのが一般的であったが、これは必ずしも容易ではなく電子線照射によるダメージも懸念される。そこで、本研究では走査プローブ顕微鏡(SPM)の探針を電気計測用の電極として、複数のSPM探針をナノスケールの任意の位置に配置し、計測材料に接触させられる多探針SPMを使って、GNRの電気伝導測定を行う。本年度は4探針原子間力顕微鏡にて、シリコン酸化膜上の不特定な場所に偶発的に形成された微小グラフェン薄片を4端子計測し、その抵抗率が計測環境の影響を受けている可能性を見出した。一方、GNRの作成については複数の手法を検討し、シリコン酸化膜上で10-30nm幅のGNRが安定的に得られるようになった。計画していたエッジ特有の局所電子状態密度の計測については現在検討中である。次年度には外部電界印加も含めた電気伝導特性の計測を進める予定である。
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