2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノギャップアレイ構造のプラズモン電場増強効果を利用した高感度センサーの実現
Project/Area Number |
22710110
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
久保 若奈 独立行政法人理化学研究所, 田中メタマテリアル研究室, 特別研究員 (10455339)
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Keywords | ナノギャップ構造体 / プラズモン / プラズモンセンサー / 微細加工技術 / 金属ナノ構造体 / フレキシブル |
Research Abstract |
本研究は,ナノ構造体のサイズと形状を1nmの精度で制御しながら、そのコピー構造体配列を一度の処理かつ数センチ単位の大面積で作製できる新規微細加工技術を用いて、高感度プラズモンセンサーの実現を目指している。本年度はギャップ幅9nmという非常に微小なギャップ構造を有する、金二重ナノピラーアレイのウェハースケールにおける作製を実証し、プラズモンセンサーとしての機能を確認した。この技術は、従来の代表的な微細加工技術である電子線リソグラフィー法の代替技術として提案できる。さらに作製した二重ナノピラーアレイのセンサー感度を算出したところ、従来の金属ナノ構造体のプラズモンセンサーの感度に対し、本センサーチップは10倍以上の感度を示し、世界トップレベルの感度であることも実証できた。構造体は固定基板のみならず、フレキシブルなポリマー基板上にも作製できることから、従来の表面プラズモン共鳴センサーに必要な反射型光学系を必要としない、簡易型フレキシブルセンサーとして非常に注目を集め、記者配付資料のほか数社の新聞記事など、少なくとも8件の広報資料にも採用された。さらに、同じ表面積を有しながら、ギャップ構造を持たない比較構造体とのスペクトル比較を行ったところ、ギャップの形成によってより強いプラズモン電場増強効果が生じ、その結果プラズモンセンサーの感度向上の実現を見出した。この結果は、今度プラズモンセンサーを開発する際、金属ナノ構造体を設計・制御する上で非常に重要な知見になる。
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