2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノポアDNAセンサーの実用化に向けてナノポア付近のDNA泳動制御
Project/Area Number |
22710117
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
三井 敏之 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (40406814)
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Keywords | ナノバイオ / 生物物理 / マイクロ・ナノデバイス |
Research Abstract |
本研究の目的は、ナノポアを用いたDNAの一分子解析装置の実用化に向けたナノポアの改良とDNAの挙動解析による、ナノポア付近の物理的状況の解明である。平成22年度は、まずポアの改良を行った。ナノポアは、SiNのフリースタンディングの薄膜をつくり、その膜にナノボアを(Focused IonBeam)FIBなどであける。このナノボアを形成する膜に、(1)50~100nmの金蒸着、(2)、(1)+SiO_2、100nm~200nmを堆積させたナノポアをつくった。そして、SiN膜のみのナノポアと、(1)、(2)のそれぞれの、ポア付近におけるDNAの解析をおこなった。SiN膜のみのナノポアでは、ナノポアが表面を介してナノポアに侵入することが観測され、表面上の電場を定量的に見積もった。(1)では、予想通り表面上においてDNAは自由拡散をし、自由拡散に影響をあたえるほどの電場はポアの中心より3μm程度以内にしかみられなかった。そしてDNAは表面に対し、より垂直にポアに侵入した。また、金表面の電位を制御することにより、DNAの侵入頻度に変化がみられた。(2)においては、サンドイッチ状にはさんだ金の電位を"ゲート"として制御し、こちらのDNAの侵入頻度を制御することができた。さらに、(2)では、ナノポアによるDNA解析の最大の問題の一つである、DNAの詰まりを完全に取り除くことに成功した。これらの現象を解析することによりポア付近のイオンの濃度勾配、時間変化などを、既存のモデルと比較を現在行っている。
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