2010 Fiscal Year Annual Research Report
人工ナノレセプター粒子を用いたアルツハイマー病早期診断非標識検知チップの開発
Project/Area Number |
22710125
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
渕脇 雄介 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究員 (80468884)
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Keywords | ナノ材料 / マイクロナノデバイス / チップ / 非標識 / アルツハイマー |
Research Abstract |
金キャップナノ構造チップを作製するために、金基板表面へ粒径100nmのシリカ微粒子を展開しEDCを用いて共有結合させ、局在プラズモン(LSPR)応答により粒子密度の制御を検討した。その結果、展開させるナノ粒子が増加するにつれ、粒子の密度制御が困難になったため、安定なナノ構造体をスループットに作製できない事が分かった。そこで改善策として、ナノインプリンティング法により金キャップナノ構造体を作製したところ、最高で50nmの解像度を有するチップの作製に成功した。これにより、チップのセンシング面積を広くする事ができ、かつ高スループット量産も可能になっため、実用化に優れた高感度で低コストなチップ作製が可能になった。 次に、アルツハイマー病のバイオマーカーであるタウ蛋白を、高選択的に認識する分子インプリンティングポリマーを合成し、LSPR応答により吸着評価を行った。その結果、タウ蛋白が高分子体であるため、残存する僅かな非特異的吸着がLSPRの光学現象を干渉し、効果判定のバラつき低減に満足なS/Nを得る事が出来なかった。そこで、この問題を改善するため2つのアプローチを試みた。まず、申請者が十分な実績を有するBisphenol A(BPA)を用いて吸着評価を行い、タウ蛋白との比較を行う事で、吸着メカニズムの本質的な問題点を抽出した。その結果、タウ蛋白の帯電量が大きな影響を与えている事が示唆された。もう一つのアプローチは、分子インプリンティング界面ヘシームレスに非特異的吸着抑制ポリマー(poly-3MAm3AP)を供給でき、満足なS/Nを得る事が可能な新しい界面の作製法を検討した。その結果、合成したpoly-3MAm3APの高分子電解質的性質を利用する事で、非特異的吸着を大幅に抑制できるだけでなく、帯電量が大きいタンパク質も、高選択的に認識できる事が分かった。
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