2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22710129
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮澤 俊之 東京大学, ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構, 特任研究員 (30569900)
|
Keywords | 単一光子発生器 / 量子ドット / 通信波長帯 / 荷電励起子 / トンネル注入 / サイドゲート / p-i-nダイオード / メサ構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は電流注入による通信波長帯単一光子発生器を高性能化するために、単一量子ドットへの共鳴トンネルキャリア注入と荷電励起子状態生成を電気的に制御し、発光効率の向上や単一光子純度を改善することである。 通信波長帯の量子ドットとしてはInAs/InPを用いp-i-nダイオードのi層に埋め込むが、量子ドット成長条件とドープ構造との兼ね合いからInGaAsやInGaAsPなどの3元および4元混晶層も含めた新しいデバイス層構造を検討する必要が出てきており、その層構造に合わせて量子ドットにかかる歪みの精密な評価をする必要があった。今年度購入した応力解析ソフトによって単一量子ドットの種々の混晶層間での歪み量を解析し、混晶ヘテロ接合面でのポテンシャルを推定し、より精密に量子ドット内の量子準位を評価した。これからトンネル注入による単一光子発生器実現に必要な、トンネルレートや発光再結合寿命、また最適電気パルスの時間幅などを設計することができた。 一方で、通信波長帯で発光する量子ドットウェハーついては、成長の都合上ウェハーを入手困難であり今年度にデバイス化を進めることは出来なかったが、ここまでの量子ドットのエネルギー状態解析の手法や電流注入に適したメサ構造・電極構造の設計手法を用いて、共同研究により1.55μm帯発光特性を有した量子ドットをp-i-n構造に埋め込んだ単一光子発生デバイスを作製した。このデバイスはサイドゲートを有しており量子ドットへの横方向電場印加によってドット内量子準位のエネルギー操作が可能であり、波長可変単一光子やトンネル注入時のトンネルレート操作などにも応用可能である。このデバイスへ横方向電場を印加して、波長可変単一光子発生を実証しており、今後、縦方向のp-i-n構造を用いることで高性能な電流注入型単一光子発生器の実現可能性も示すことに成功した。
|