2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール強磁性体におけるスピン波増幅に関する研究
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22710130
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関口 康爾 京都大学, 化学研究所, 特定助教 (00525579)
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Keywords | スピン波 / スピン流 / ナノスケール強磁性体 / 高速磁化ダイナミクス |
Research Abstract |
スピン波に及ぼすスピン流の効果に関する知見を得るため、金属強磁性ナノ薄膜におけるスピン波励起およびスピン流注入による変調効果を研究した。スピン波のパルス励起過程およびスピン流変調効果を実時間分解測定で観測し、そのダイナミクスを解明した。研究実績の概要は以下の通りである。 1.強磁性FeNiナノ薄膜におけるスピン波のパルス励起を実時間観測することで、スピン波が伝搬方向に関して非相反的に生じることを解明した。スピン波の振幅比率が伝搬方向に関しておよそ0.7を保ったまま伝搬することがわかった。 2.スピン波に対してスピン電流を注入すると、スピン波の位相に変調が生じること(スピン波ドップラーシフト)を明らかにした。スピン電流をパルス注入という方法にすることで試料発熱を押さえ、スピン波の位相速度および群速度の変化を波形変化として観測した。その変化から強磁性金属のスピン分極率を見積もることに成功した。 3.スピン流による振幅に変調効果を観測した。高精度オシロスコープによって振幅が0.5%程度変化することがわかった。 これらの研究実績は、電流制御によるスピン波演算素子などを設計する上で必要不可欠な基礎物性を与えており、重要な意義を持つ。
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