2010 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ2重量子ドットを用いた室温高感度テラヘルツ検出素子の開発
Project/Area Number |
22710133
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森本 崇宏 独立行政法人理化学研究所, 石橋極微デバイス工学研究室, 基礎科学特別研究員 (30525895)
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Keywords | テラヘルツ / カーボンナノチューブ / 量子ドット |
Research Abstract |
本研究課題は未探索周波数領域であるテラヘルツ波に対する、高感度かつ高温動作可能な検出素子を、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた2重量子ドットを用いることで、その実現を目指す物である。 研究初年度に当たる本年は、まずCNTを用いた2重量子ドットの試料作製プロセスの確立を主な目標として取り組んだ。CNTを用いた2重量子ドットは、何らかのポテンシャル障壁をCNT中へ導入する必要があるため、本研究では制御性がよくその導入量の調整が利く、電子線を用いた方法を試みた。一般にCNTは電子照射により、ノックオン損傷が導入されるよりも低エネルギーの電子線照射によっても、CNT中の電子励起により、構造および電子状態変化が起こることが知られている。本研究では、テラヘルツ用アンテナ電極をCNTへ作製し、室温および低温での電気伝導度測定から、CNTに対する電子線照射量の見積もりを行った。また、この素子においては、電極金属とCNT間にあるポテンシャル障壁についても、なるべく熱電子によるリーク電流を抑制しつつ、電極量子ドット間の共鳴トンネルによる電流を多くとる必要がある。通常、CNT量子ドットには、電極金属-CNT間に形成されるショットキー障壁を用いるのが一般的であるが、これは制御が困難であるため、本研究では原子層体積法(ALD)を用いて、高誘電率をもつHfO_2を電極-CNT間のポテンシャル障壁として用い、制御性の良いポテンシャル障壁形成を試みた。
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