2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラージエディセンシングに基づく水素拡散の認識・予測的リスク緩和システムの開発
Project/Area Number |
22710157
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
松浦 一雄 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (20423577)
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Keywords | 水素エネルギー / リスク緩和 / センシング / 制御 / 換気 |
Research Abstract |
将来的な燃料として水素の広範な利用が期待されているが,その普及に当たっては貯蔵,輸送,供給,製造や利用の段階で水素漏洩の可能性が増大すると考えられるため,安全性とその管理手法に関する検討が必須となっている.本年度は①~⑤の研究を行った.①部分開放空間における漏洩水素の過渡的拡散・滞留過程を詳細に議論した.またその結果に基づき,換気口位置やその条件,さらには漏洩・拡散が起きる空間外部の条件が拡散・滞留に与える影響を示した上で,リスク緩和条件について先駆的な議論を行った.②部分開放空間における漏洩水素の拡散・滞留に関して, リアルタイムセンシングに基づいた適合的リスク緩和手法を初めて提案した.この中で,空間における適合的リスク緩和可能性を安定性問題として数学的に定式化し,低減可能化条件を導出した.③漏洩水素挙動のリアルタイムセンシングに基づく強制換気によるリスク緩和手法を初めて提案した.漏洩量に関する情報なしに固定流量の換気を実施すると,漏洩量が小さい場合と,大きい場合双方において漏洩水素拡散・滞留の助長が生じることを見出した.高精度な水素拡散解析に基づいて得られる,ある漏洩量に対して部分開放空間の先験的に許容される,空間固有の換気条件に関する情報と,センシングに基づく水素漏洩情報とに基づいて換気制御を実施することで,漏洩水素拡散・滞留の助長なくして,短時間でかつ確実に,水素換気が行えることを示した.④外部環境の影響を受けにくい空間形状を提案した.その後,本空間の先験的に許容される,空間固有の換気条件に基づき,短時間かつ確実に水素の換気が行え,尚かつ少ないセンサー数で機能する強制ベントアルゴリズムを提案した.⑤このアルゴリズムに含まれるパラメータの影響を示した上で,漏洩停止後の水素排出を加速する方法を初めて提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請書では,平成23年度の研究計画は,水素ベント制御機構付きのHallwayモデル試験装置を製作後,テスト信号入力によりシステムの動作確認を実施すること,その後Hallwayモデル試験装置を使用して水素拡散実験を行うこととした.しかしながら,制御アルゴリズムの開発に時間をかけたため,当初計画よりやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
当初,平成23年度開始する予定であった漏洩水素のベント制御実験を実施する.
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Research Products
(5 results)