2010 Fiscal Year Annual Research Report
高等教育機関における安全教育プログラムの体系化と効果測定
Project/Area Number |
22710162
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
太刀掛 俊之 大阪大学, 教育・情報室, 准教授 (90379222)
|
Keywords | 安全教育 / 事故予防 / 危機管理 / 火災 |
Research Abstract |
本年度は,対象大学の過去4年間に収集された事故データについて分類法を検討し、事故発生の傾向分析を試みた。特に、化学物質に関連する事故91件に注目した結果、保護具の着用状況が確認された事例は合計45件であり、うち全体の77.8%が、事故発生時に保護具を着用していなかったことが明らかとなった。また、矯正めがねを保護具の代用として使用し、眼を負傷する事例が認められた。本研究で報告される全ての事故事例が眼の負傷を伴うものではないが、着用状況が3割未満と回答した研究室数の結果を考慮すると、保護具の着用は常に行われているものではなく、リスクの高い状況が明らかとなった。 保護具非着用の背景要因については、化学物質が眼に入る等の事故を経験した研究室の回答数が少なく、過去の事故経験が保護具の着用に関連するかについて明確に結論することはできなかったが、事故経験が無い場合には、着用状況が3割未満である研究室数が目立っていた。さらに、指導的立場にあると推測される回答者の着用状況が、研究室全体の看用状況に対して相関関係が認められることから、教職員と学生等を含む研究室全体の安全確保に際して、メンバーの同調行動が背景要因として作用しているものと推測された。 本研究の結果は、研究教育時の事故予防について、.学生のみならず、教職員を含めた安全教育が必要であることを示しており、引き続き安全態度の相違を明らかにするとともに、安全教育プログラムの体系化に資するものと考えられる。
|