2010 Fiscal Year Annual Research Report
ChIP-seq法によるヘテロクロマチンの多様性の解明
Project/Area Number |
22710180
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長尾 恒治 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 助教 (60426575)
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Keywords | ゲノム / ヘテロクロマチン / バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
染色体上のヘテロクロマチン領域は、セントロメアやテロメアなどの染色体構造の維持や、エピジェネティックな遺伝子発現の制御に重要な役割を果たしている。我々はヘテロクロマチン機能を分子レベルで明らかにするため、構成的ヘテロクロマチンに特異的な9番目のリジン残基がメチル化されたヒストンH3を認識するHP1と結合するタンパク質を、質量分析器を用いて網羅的に82種類同定してきた。この知見をさらに発展させるため、本研究ではクロマチン免疫沈降(ChIP)法と次世代シーケンサーによる解析を組み合わせることで、ヒト細胞のヘテロクロマチンについて、"それぞれのヘテロクロマチン領域が、どのようなタンパク質により構築されているか"について、明らかにしようとしている。本年度はまず、染色体上での結合部位が既に知られているCTCFタンパク質をモデルとして用いて、ChIP法の最適化、次世代シーケンサーから得られる配列情報から実験系を評価するための統計値抽出、目的タンパク質の染色体上での結合領域を決定するための情報処理系の確立を行った。その結果、ChIP-seq法で目的タンパク質の染色体上での結合領域を決定できるようになっただけでなく、ChIP実験系の善し悪しも評価できるようになった。この系を用い、15種類のHP1結合タンパク質、HP1の3つのサブタイプ、RNAポリメラーゼIIについてChIP-seq法による染色体上での結合領域の決定を試みた結果、HP1結合タンパク質は、いずれもHP1と結合するにもかかわらず、それぞれが染色体上で特徴的な結合パターンを示すことが明らかとなった。このことから、構成的ヘテロクロマチン領域はそれぞれ異なる機能も有することが示唆された。
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Research Products
(4 results)