2011 Fiscal Year Annual Research Report
ChIP-seq法によるヘテロクロマチンの多様性の解明
Project/Area Number |
22710180
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長尾 恒治 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 助教 (60426575)
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Keywords | エピゲノム / ヘテロクロマチン / バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
染色体上のヘテロクロマチン領域は、セントロメアやテロメアなどの染色体構造の維持や、エピジェネティックな遺伝子発現の制御に重要な役割を果たしている。ヘテロクロマチン機能を分子レベルで明らかにするため、これまで構成的ヘテロクロマチンに特異的な9番目のリジン残基がメチル化されたヒストンH3(H3K9me3)を認識するHP1と結合するタンパク質を質量分析器を用いて網羅的に82種類同定してきた。しかしヘテロクロマチンの機能を明らかにする上では、プレイヤーを知るだけではなく、これらが実際染色体上のどこで、どのような組み合わせで機能しているのかを明らかにすることがまず必要である。そこで昨年度に確立したクロマチン免疫沈降法と次世代シーケンサーによる解析法(ChIP-seq)によって、新規HP1結合タンパク質群の染色体上での分布を調べた。その結果、これら新規因子の一つHBiX1の作る2者タンパク質複合体が、不活性化X染色体全体(染色体全体がヘテロクロマチン化されている)に局在することを見いだした。またヒト不活性化X染色体が既に報告されているように、HP1およびポリコームという2種類の異なる分子機構からなるヘテロクロマチンによって形成されていることを確認した。この上でX染色体関連因子のRNAi法によるノックダウンとChIP-seq法を組み合わせることで、HBiX1複合体の不活性化X染色体への局在機構を明らかにすることができた。さらにHBiX1複合体が、不活性化X染色体の高次構造形成に必須であることを見出し、これまで不明であったヘテロクロマチンがどのようにしてコンパクトな染色体構造をつくりだすのかの分子機構の一端を明らかにした。
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Research Products
(3 results)