2011 Fiscal Year Annual Research Report
内在性非コードRNAを考慮した機能性RNAによるエピゲノム改変最適化の試み
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22710181
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
大鐘 潤 明治大学, 農学部, 講師 (50313078)
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Keywords | 内在性非コードRNA / DNAメチル化 / エピゲノム改変 / 細胞分化 / 分化転換 |
Research Abstract |
近年、内在性、外来など様々な機能性の非コード(nc)RNAが標的遺伝子のエピジェネティック制御に関与する事が報告され始めた。内在性ncRNAは細胞種特異的発現を示すものも多く、機能性ncRNAの細胞への導入によるエピジェネティック改変(発現制御)の効率化には、内在性ncRNAの標的遺伝子同定と発現状態との総合理解が必須である。昨年度の解析から、ES細胞の多能性維持に重要なSa114遺伝子は、プロモーター領域に長い一本鎖アンチセンスncRNAが存在し、このアンチセンスncRNAによりDicer非依存的にDNAメチル化制御を受けることが判明した。そこで今年度は、Sa114遺伝子のプロモーター領域に存在するアンチセンスncRNA(ASncRNA)に注目し、機能解析を行った。マウス繊維芽細胞では、Sa114はプロモーター領域が高メチル化で発現が見られないが、Sa114 ASncRNAを一過的に強制発現させることで、プロモーター領域の脱メチル化を誘導できた。一方、内在性Sa114 ASncRNAの機能を解析するために、ES細胞でASncRNAを標的とするshRNAを導入することでノックダウンしたところ、本来低メチル化のSa114プロモーターがメチル化され、Sa114遺伝子の発現も減少し、ES細胞の自己再生にも影響を与えることが確認された。本研究により、内在性Sa114 ASncRNAは、オーバーラップする標的領域の低メチル化状態を維持し、遺伝子の活性化に重要であることが示された。本研究により、ncRNAによりDNAメチル化状態が維持される遺伝子を多数同定できたことから、今後は内在性ncRNAの強制発現やノックダウンにより標的遺伝子のDNAメチル化状態の改変(エピゲノム改変)を基盤として、有用細胞や病態モデル動物を作製するための新技術の確立につながると考えられる。
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[Journal Article] Epigenetic assessment of environmental chemicals detected in maternal peripheral and cord blood samples2011
Author(s)
Arai Y, Ohgane J, Yagi S, Ito R, Iwasaki Y, Saito K, Akutsu K, Takatori S, Ishii R, Hayashi R, Izumi S, Sugino N, Kondo F, Horie M, Nakazawa H, Makino T, Shiota K
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Journal Title
J Reprod Dev
Volume: 57
Pages: 507-517
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