2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22710190
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧野 能士 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (20443442)
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Keywords | 疾患関連遺伝子 / 相同組替え |
Research Abstract |
ヒトゲノムにおける遺伝的多型のパターンから相同組替えが点突然変異を生み出していると考えられているが、本仮説を支持する証拠は未だ不十分であった。そこで有害突然変異のゲノム上の分布を調べることで、相同組替えと点突然変異の関係を調査し相同組替えがヒト遺伝子に有害な影響を及ぼしているか調査を行った。その結果、有害突然変異は進化過程において比較的最近生じており、ヒト集団内において稀な突然変異であることが分かった。また、相同性組替えが頻繁に起きているゲノム領域(組替えホットスポット)に存在する遺伝子のエキソンには、多くの有害突然変異が含まれていることが明らかとなった。一方、比較的古い時期に生じてヒト集団内に維持されている突然変異である一塩基多型(SNPs)にはそのような傾向は見られなかった。このことは組替えホットスポット上にある遺伝子では、相同組替えが原因で点突然変異率が上昇し、結果として疾患と関連した突然変異が蓄積しやすいことを示唆している。上記結果を踏まえてヒト遺伝子の組替え率を調査したところ、疾患関連遺伝子は他の遺伝子と比べて高い組替え率を持つ事が明らかとなった。以上の結果から相同組替えが頻繁に起きているヒトゲノムの機能的な領域は有害突然変異率が高く、結果として疾患との関連が高まっていると考えられる。相同組替えホットスポットは進化過程においてその位置が変化しやすいことが示されており、ヒトの系統において組替えホットスポット上にのった遺伝子は、新たに疾患となりやすい遺伝子となったと推察される。本研究成果から、相同組替え率から疾患関連遺伝子の推定が期待できる。
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