2010 Fiscal Year Annual Research Report
PKCεを標的とした2型糖尿病に対する新規治療薬の開発
Project/Area Number |
22710194
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
米沢 朋 東海大学, 医学部, 奨励研究員 (60515964)
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Keywords | 2型糖尿病 / PKCε / 既存薬X / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
6万種類の化合物ライブラリーから、In silico解析によりPKCεとεRACKとの結合表面を阻害するものを22個、機能未知ポケットに結合する低分子化合物を24個を同定した。前者の22個の化合物についは、PKCεとεRACKとの蛋白質相互作用をビアコアにより検出し、化合物による相互作用阻害効果を検討した。その結果、1個の化合物の薬効が確認された。加えて、培養細胞においてもPKCεの膜移行を阻害することも確認している。一方、機能未知ポケットに結合する化合物に既存薬Xが同定され、培養細胞においてPKCεの膜移行を阻害する効果を確認している。同時に、既存薬Xと構造が類似する化合物も複数同定している。実際に組み換え体PKCεを用い、センサーチップ上に既存薬Xを固定し、既存薬XとPKCεとの直接的な結合を検討したところ、In silico解析の結果と一致し、結合を確認できた。また、PKCεの濃度をふって検討し、結合の速度乗数を算出したところ、Kd値が2.28x10^<-8>となった。これは既存薬XがPKCεに、糖鎖とレクチンとの結合と同等くらいの結合力を保持していることを示す。さらに、センサーチップ上に既存薬Xを固定し、ヒト293Tやマウス3T3-L1細胞などの細胞内タンパク質をセンサーチップ上に流し込み、既存薬Xと親和性のあるタンパク質を回収するマイクロリカバリーを行って、既存薬XとPKCεとの結合を検討した。マイクロリカバリーで回収しにタンパク質中には、PKCεが存在することをウェスタンブロットで確認ができた。これらの結果は、組み換え体PKCεおよび内在性PKCεのいずれもが既存薬Xと結合することを証明しており、創薬研究において、非常に有意義な結果である。機能未知ポケットの欠損変異体を作成し、ビアコアで同様の結合実験を検討し、国際的な学術論文へ投稿する予定である。
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