2010 Fiscal Year Annual Research Report
マリンメタゲノムからの新たな組換えタンパク質高次構造形成促進因子の探索
Project/Area Number |
22710204
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
寺原 猛 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助教 (70547059)
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Keywords | 環境ゲノム / メタゲノム / 遺伝子資源 |
Research Abstract |
組換えタンパク質発現系の開発は分子シャペロンやPPase等の既知の活性を持つタンパク質を利用して行われてきたため、現在の知識から予想される範囲での改良しか行われず、それゆえ技術改良には手詰まり感が漂っている。分子生物学的知識が蓄積されている大腸菌でさえも、活性型の組換えタンパク質を発現させることができる割合は低い。そこで、難培養微生物を豊富に含む多様な原核生物ゲノムから、遺伝子が活性ある形で発現することを補助・促進する新たな因子を広く探索することを目的とした。本研究では、近年、海洋生物に多くの微生物が共生・共存していることが明らかとなってきたことに着目し、原核生物ゲノムとして、カイメン、サンゴ共在バクテリアのマリンメタゲノム・ライブラリーを用いた。そして、目的とする促進因子を持つクローンのみが生育するようなスクリーニング系を構築した。スクリーニング系の原理は以下の通りである。大腸菌は15℃以下の低温では、シャペロンがうまく機能しないため、増殖速度が著しく低下することが知られている。そこで、マリンメタゲノム・ライブラリーの大腸菌クローンを15℃で培養し、コロニー形成能を観察した。約2000クローンをスクリーニングした結果、他のクローンに比べ、大腸菌の増殖能が大きかったクローンが3個確認された。大腸菌を用いた低温での組換えタンパク質発現系は、組換えタンパク質の構造が安定しやすいために有効であるが、大腸菌の生育そのものが阻害されてしまう。本研究で得られたクローンに含まれる因子は、大腸菌の増殖能を向上させることから、大腸菌を用いた低温での組換えタンパク質発現系の構築に役立つ可能性が示唆された。
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