2010 Fiscal Year Annual Research Report
リガンド結合タンパク質の網羅的解析を指向したタンパク質分離用樹脂の開発
Project/Area Number |
22710219
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
倉持 幸司 京都府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (90408708)
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Keywords | 生体分子 / 生理活性 / 蛋白質 / 有機化学 / ケミカルバイオロジー |
Research Abstract |
従来の結合親和性を利用した標的分子の探索では、リガンド(薬剤や生物活性物質など)と強く相互作用するタンパク質に注目が集まり、リガンド低親和性タンパク質は無視されている場合が多い。しかしながら、リガンド低親和性タンパク質の中にはリガンドの作用・副作用などに深く関与するタンパク質も存在し、これら結合タンパク質群を解析する技術が必要とされている。本研究では、固相合成用樹脂に独自の設計で化学修飾を施し、リガンドに結合するタンパク質群を網羅的に捕捉・回収する分離用樹脂を開発する。 本年度は、新規分離用樹脂の合成と性能評価と、従来の分離用樹脂を用いたリガンド結合タンパク質の探索を同時並行で検討した。新規分離用樹脂の合成では、固相合成用樹脂にジスルフィド基を有するリンカーと光反応基を導入した樹脂を合成することに成功した。現在、この樹脂を用いてリガンドと相互作用するタンパク質を光反応により捕捉し、還元剤でリンカーを切断する方法により、結合タンパク質を回収する検討を行っている。一方、従来の樹脂を用いたリガンド結合タンパク質の探索では、多くの低分子リガンドを樹脂に固定し、ファージディスプレイ法により結合タンパク質群を分離、同定する検討を行った。その結果、残留性環境汚染物質ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、抗生物質ツニカマイシン、免疫抑制剤であるシクロスポリンA、植物フラボノイドのアピゲニンの新規結合タンパク質を同定することに成功した。
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