2011 Fiscal Year Annual Research Report
リガンド結合タンパク質の網羅的解析を指向したタンパク質分離用樹脂の開発
Project/Area Number |
22710219
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
倉持 幸司 京都府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (90408708)
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Keywords | 生体分子 / 生理活性 / 蛋白質 / 有機化学 / ケミカルバイオロジー |
Research Abstract |
本年度は、1.分離用樹脂の合成研究、2.リガンド-結合タンパク質間の相互作用解析並びに作用解析を行った。以下にその成果を概説する。 1.分離用樹脂の合成研究 前年度から引き続き、分離用樹脂の合成研究を行っている。この分離用樹脂はこの分離用樹脂は、固相合成用樹脂であるPEGAにジスルフィド基を有する疎水性リンカーと光反応基としてのジアジリンを導入した樹脂である。当初設計した分離用樹脂の合成には成功したものの、リガンドを分離用樹脂に導入する際にジスルフィドリンカーが開裂することが分かった。現在、リガンドを効率的に導入する反応、時期などを検討している。 2.リガンド-結合タンパク質間の相互作用解析並びに作用機構解析 前年度、固相合成とT7ファージディスプレイ法を融合したリガンド結合タンパク質同定法により、残留性環境汚染物質ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の結合タンパク質としてCD14抗原を同定した。本年度はPFOSとCD14抗原との相互作用を、表面プラズモン共鳴装置を用いて解析した。その結果、PFOSはCD14抗原と解離定数5.83×10^<-5>Mで直接結合することを証明した。また、PFOSはCD14抗原の作用に顕著に影響を与えることを見出した。すなわち、CD14抗原をマウスマクロファージRAW264.7細胞に作用すると、炎症性サイトカインTNF-αの産生が誘導されるが、PFOSで前処理することによりCD14抗原のTNF-αの産生誘導を阻害することがわかった。以上の結果から、PFOSが引き起こす免疫毒性は、CD14抗原への結合と機能阻害によるものであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
固相合成用樹脂をタンパク質精製用のアフィニティー担体として利用する研究では、PFOS標的タンパク質の同定に成功するなどの成果を挙げることができた。しかしながら、リガンドを結合した分離用樹脂の合成が難航している。光反応性基、ジスルフィドリンカー、リガンドを効率的に固相合成PEGA樹脂に導入する方法を確立する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲフィチニブやマンノースなどのリガンドを結合させた分離用樹脂の合成を急務の課題として研究に取り組む。更に合成した分離用樹脂を用いて、細胞抽出液もしくはT7ファージライブラリーから結合タンパク質を探索する。もしこれらの樹脂の合成が困難な場合は、従来法による結合タンパク質の探索を行う。従来法とは、固相合成用樹脂の表面に直接リガンドを導入し、結合タンパク質を探索する方法である。 次に同定した結合タンパク質とリガンドとの相互作用を、表面プラズモン表明装置もしくは水晶発振子マイクロバランス法により確認する。リガンド-タンパク質間相互作用を確認できた場合には、タンパク質へリガンドが与える影響を精査する。
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Research Products
(4 results)