2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22710221
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
広井 賀子 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (20548408)
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Keywords | マイクロナノデバイス / モデル化 / バイオリアクター / 脳・神経 |
Research Abstract |
1.成果:平成22年度は1)長期記憶メカニズムの数理モデル構築,2)長期細胞培養用デバイスの設計の2点を行った.数理モデルは繰り返し刺激によるシナプス構造の長期維持機構について,転写・翻訳を介したシグナル伝達因子の新規合成を介してネットワーク遷移が起きているためであるという説を裏付ける結果を得た.現在論文執筆中である.デバイス開発では,流れのある環境での細胞パターンの維持を目的としたマイクロコンタクトプリンティング法と,プリントしたガラスを底面に培養チャンバーを吸着する技術について条件検討を行った.現在論文執筆中である. 2.意義:数理モデルにより,これまで経験則として知られていた繰り返し刺激による記憶長期化のメカニズムを構成する要素をネットワークモジュール単位で推定することができた.モデルによって予言されたメカニズムは,記憶長期化における新しいメカニズムの発見を意味すると同時に,長期記憶のための刺激間隔(3~24時間)に近いタイムラグを介して発現する生理現象の背景に,同様のメカニズムが存在しうることを示唆している.また,流体中でパターンを維持しながら長期培養を行うデバイスの開発は,本研究計画における数理モデルによって得られた仮説の検証に欠かせないのみならず,今後他の同条件が必要な実験系への応用が可能である. 3.重要性:新規長期記憶メカニズム仮説の数理モデルによる裏付けは,重要な生命現象のメカニズム解明における一歩となる.開発したデバイスの応用範囲は,培養細胞から単細胞微生物まで培養可能な生物試料に対し広く応用でき新しい実験を可能にするものである. 4.計画:開発したデバイス技術を用い,数理モデルによって予言されているメカニズムの検証を行う。この際,微小空間内での流体の性質を活かすことで,生体内の環境を模した条件での検証実験が可能であると考えている.
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Research Products
(1 results)