2010 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素によるメチル化シグナルを介した新しい糖代謝リモデリング機構の解明
Project/Area Number |
22710222
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 雄広 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50383774)
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Keywords | 一酸化炭素 / メチル化 / 糖代謝 / アポトーシス |
Research Abstract |
平成22年度は解糖系制御のCOによる作用点を明らかにするために、メタボローム解析を行なった。その結果、解糖系のアロステリック活性化因子として作用する細胞内のフルクトース2,6-ビスリン酸(F-2,6-BP)量に大きな変化が認められた。すなわち、CO添加によってF-2,6-BP量が減少することがわかった。よって、CO-CBS系を介したメチル化の標的分子はF-2,6-BPの合成または分解に関わる酵素であるPFKFB3、TIGARが候補であることが予想された。しかしながらCO処理においてこれら遺伝子のmRNA量に大きな変化は認められなかった。さらにCOによるF-2,6-BP量の減少はmRNA合成阻害剤のアクチノマイシンD存在下でもみられたことから、このような変化はPFKFB3またはTIGARの翻訳後修飾による酵素活性の変化に起因すると考えられた。そのうちPFKFB3の一次構造を調べてみるとArg-X-Argというアルギニンメチル化酵素PRMT1によるメチル化モチーフが認められたため、大腸菌リコンビナントタンパク質を用いたin vitro methylation assayを行なった。その結果、PFKFB3はPRMT1によって130番目と133番目のアルギニン残基がメチル化されることを明らかにした。さらにPRMT1をノックダウンした細胞ではF-2,6-BP量の減少が見られ、CO添加時と同じようにペントースリン酸回路への流量が増えて、細胞内の重要な還元当量であるNADPH量の増加が認められた。以上のように、CO-CBS系によるでメチル化反応はPRMT1を介してPFKFB3のメチル化を通じ解糖系を制御していると考えられた。
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Research Products
(4 results)