2010 Fiscal Year Annual Research Report
天然有機化合物を基盤とした新規低酸素誘導因子阻害剤の創製
Project/Area Number |
22710223
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石川 裕一 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (40348826)
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Keywords | 低酸素 / 構造活性相関 / ステロイド / 抗がん剤 |
Research Abstract |
低酸素誘導因子(HIF-1)は低酸素応答を制御する転写因子である。多くのがん細胞ではHIF-1が活性化されており、HIF-1の阻害剤は新たなメカニズムによる新規抗がん剤として期待されている。天然有機化合物ストロンギロフォリン類は、HIF-1を標的とした新規抗がん剤のリード化合物として有望であると考えられているものの、現在まで、その合成は報告されておらず、詳細な活性発現機構についても不明である。そこで申請者は、天然有機化合物ストロンギロフォリン類のアナログ合成を効率的に行い、構造活性相関や未解明な活性発現機構の情報を得ることにより、HIF-1を標的とした新規抗がん剤創製の研究基盤を確立することを目的とした。 本年度においては、ストロンギロフォリン類の構造的特徴に着目し、容易に入手可能なステロイド化合物を用いて、ストロンギロフォリンアナログの合成を行い、その合成経路の確立を試みた。また、各種アナログ合成に有用な官能基変換の手法についても検討した。 まず構造の類似性に着目し、各種ステロイド化合物からの誘導について検討した。ステロイド骨格のA環部分における官能基化について、過去の事例を参考にハロゲン化、高原子価ヨウ素を用いるメチル基の酸化を行ったところ、反応は進行しA環部分にあるメチル基の酸素官能基化は成功した。しかし、反応の再現性が乏しく、収率も十分なものでは無かった。種々のステロイド化合物を検討したものの、現在までに良い結果は得られていない。また、ヒドロホウ素化を用いた官能基化についても検討したものの、やはり収率の点で問題が残った。今後、更なる検討を行い、効率的なステロイド骨格のA環部分における官能基化の手法を確立し、ストロンギロフォリンアナログの合成を行うものとする。
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