2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゼニゴケ油体テルペノイドの生合成酵素及び遺伝子の特徴付けと物質生産への利用
Project/Area Number |
22710226
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
兼目 裕充 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (10399438)
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Keywords | ゼニゴケ / テルペノイド / 環化酵素 / 油体 / 物質生産 / メバロン酸経路 / MEP経路 / 生合成 |
Research Abstract |
ゼニゴケ(Marchantia polymorpha)は増殖も速く、油体と呼ばれる特徴的な細胞内構造体を持つ。最近ではアグロバクテリアによる外来遺伝子導入方法が開発されたことから、医農薬やその原料となる親油性化合物を生産・蓄積させる植物工場として注目されている。そこで、ゼニゴケ油体成分の制御および外来酵素遺伝子の効率的な発現方法の構築を見据えて、油体構成テルペノイド生合成酵素遺伝子の同定・機能解析を行った。約3万4千件のESTデータについて、アセンブルおよびBLAST検索によるアノテーションを行い、複数のセスキテルペン環化酵素様遺伝子配列(MpSTS)、ジテルペン環化酵素様遺伝子配列(MpDTS)およびトリテルペン環化酵素様遺伝子配列(MpTTS)を抽出できた。雌雄のゼニゴケからそれぞれ完全長cDNAを調製して鋳型とし、5'-および3'-RACEによりそれぞれ全長配列を決定した。全長配列を決定したセスキテルペン環化酵素様遺伝子配列(MpSTS1~4)およびジテルペン環化酵素様遺伝子配列(MpDTS1~3)うち、MpSTS1およびMpDTS2についてはGST融合タンパクとして異種細胞発現および可溶化に成功した。それぞれのリコンビナント酵素を精製し、FDPまたはGGDP等を基質とした変換反応を行ったところ、それぞれ環化反応産物が認められた。これらは天然物標品または化学誘導標品とGC-MS分析において一致したことから、構造を決定できた。また、MpSTS2,MpSTS3およびMpSTS4は、可溶化能の高いNusタグまたはTrxタグとの融合タンパクとして異種細胞発現および可溶化に成功したことから、FDPを基質とした変換反応による機能解析を行っている。今後は可溶化した酵素タンパクを用いて、免疫染色による細胞内局在の可視化を検討する予定である。
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