2010 Fiscal Year Annual Research Report
モルフォロームを基盤とした微生物由来新奇バイオプローブの探索研究
Project/Area Number |
22710228
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
二村 友史 独立行政法人理化学研究所, 化学情報・化合物創製チーム, 基礎科学特別研究員 (70525857)
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 細胞形態変化 / モルフォローム / ハイコンテントスクリーニング / 微生物代謝産物 |
Research Abstract |
化学の力を利用して生命現象を理解する「ケミカルバイオロジー」は、従来の分子生物学では困難な生命機能解析を可能にするだけでなく、がんをはじめとする多くの難治疾患に対するゲノム創薬研究へも大きく貢献し得ることからポストゲノムの重要な研究領域としてその発展が期待されている。オリジナリティーあるケミカルバイオロジー研究を展開するには、その性質上、興味深い生理活性を有する小分子化合物(バイオプローブ)の開発が不可欠である。本研究では細胞形態変化を指標としたハイコンテントスクリーニングを構築し、新規バイオプローブの発見を試みた。 細胞は与えられた化合物の作用メカニズムに応じて様々な形態を示す。私は、様々な化合物によって誘導される形態変化をカタログ化し、薬剤作用と形態変化の相関を明らかにしたデータベース「モルフォローム」を作製すれば、簡便に表現型比較が可能なハイコンテントスクリーニング系に応用できると考えた。これまでに3種類のがん細胞に対して、約60種類の標的既知薬剤が誘導する形態変化データを時間・濃度依存的に収集し、形態変化の類似性を基に分類を行った。その結果、高分子合成阻害剤、細胞骨格系作用薬、HSPやHDAC阻害剤は特異的な形態変化を誘導し、これらを容易に判別可能なデータベースを構築できた。次にモルフォロームを基盤としたハイコンテントスクリーニングを実施した。微生物代謝産物や天然物化合物ライブラリーNPDepoからデータベースに未登録の興味深い形態変化を誘導する化合物を探索し、微生物代謝産物から31種の活性物質を見出した。また天然物化合物ライブラリーNPDepoからは特異な細胞空胞化を誘導するステロイド化合物や細胞周期を分裂期後期で停止させるオイデスマン化合物を見出した。現在、これらを用いたケミカルバイオロジー研究に着手したところである。
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