2011 Fiscal Year Annual Research Report
モルフォロームを基盤とした微生物由来新奇バイオプローブの探索研究
Project/Area Number |
22710228
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
二村 友史 独立行政法人理化学研究所, 化学情報・化合物創製チーム, 特別研究員 (70525857)
|
Keywords | ケミカルバイオロジー / 細胞形態変化 / ハイコンテントスクリーニング / モルフォローム / 微生物代謝産物 |
Research Abstract |
化学の力を利用して生命現象を理解する「ケミカルバイオロジー」は、従来の分子生物学では困難な生命機能解析を可能にするだけでなく、がんをはじめとする多くの難治疾患に対するゲノム創薬研究へも大きく貢献し得ることからポストゲノムの重要な研究領域としてその発展が期待されている。オリジナリティーあるケミカルバイオロジー研究を展開するには、その性質上、興味深い生理活性を有する小分子化合物(バイオプローブ)の開発が不可欠である。私は、がん細胞が与えられた薬剤の作用に応じて特異な形態を示すことに着目し、バイオプローブを発掘する探索基盤として形態変化データベース「モルフォローム」の構築に取り組んできた。昨年度までに3種類のがん細胞に対して、約60種類の標的既知薬剤が誘導する形態変化データを時間・濃度依存的に収集し、形態変化の類似性を基に分類を行った。その結果、高分子合成阻害剤、細胞骨格系作用薬、HSPやHDAC阻害剤は特異的な形態変化を誘導し、これらを容易に判別可能なデータベースを構築できた。本年度は、これまで観察者に依存した形態観察をIN Cell Analyzerで数値解析することにより、客観性の高いデータベースへの拡張を試みた。撮像の条件検討や独自のアルゴリズムを開発することにより、IN Cell上で様々な細胞形態を認識できるようになった。次に、約100種類の標準化合物が誘導する形態変化を特徴づけうるパラメータを探索し、細胞や核、細胞内外に現れる様々な構造体について大きさや数、扁平率、縦横比など35種のパラメータを見出した。実際得られた多次元パラメータを主成分分析すると、類似の形態変化を示す化合物は固有ベクトルで描くプロット上で近傍に位置し、薬剤作用機序と形態変化と紐づけることができた。また構築したモルフォロームを基盤としたハイコンテントスクリーニングを実施し、興味深い表現型を示す化合物を複数見出した。
|