2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22710229
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
紙透 伸治 独立行政法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 客員研究員 (30553846)
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Keywords | 光親和性標識 / 標的タンパク質 |
Research Abstract |
インドールの4位にフッ素を導入した4-フルオロインドールは紫外線を照射することで、脱フッ素化し、カルベンを生じることが報告されている。生じたカルベンにより標的分子と共有結合させることが可能である。そこで本研究では、インドールなどの芳香環にフッ素を導入した光親和性プローブの開発とその応用を目的とする。まず、インドールの4位にフッ素が導入された4-フルオロトリプトファンをメタノール中で紫外線照射し、実際に光反応が進行するかをNMRなどにより解析した。ここでは実際の光親和性標識を想定し、タンパク質に影響を与えないような比較的弱い光源を用いた。しかしながら、種々の光源を用いて光反応を行ったが、反応物は確認されなかった。このため、4-フルオロトリプトファンのカルベンの生成効率は低くNMRなどでは検出できないことが示唆された。 さらに、4-フルオロトリプトファンに蛍光基を導入した化合物を合成し、実際にタンパク質を光親和性標識し、標識タンパク質をより高感度な蛍光で検出できるかどうかを調べることにした。この実験に先立ち、ポジティブコントロールとして、光反応基として知られるテトラフルオロフェニルアジドに蛍光基であるBODIPYを導入した化合物を合成した。この化合物と牛血清アルブミンなどのタンパク質と混合した後、紫外線を照射し、標識タンパク質をSDS-PAGEにより解析した。その結果、標識タンパク質が蛍光で検出できることを確認した。標識(カルベン生成)効率が低くても、蛍光を用いることで標識タンパク質を十分検出できると予想される。今後は、蛍光基を導入した4-フルオロトリプトファンを用いて、同様に光親和性標識を行う予定である。
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