2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22710229
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
紙透 伸治 東京理科大学, 理工学部, 助教 (30553846)
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Keywords | 光親和性標識 / 標的タンパク質同定 |
Research Abstract |
前年度の研究で、4-フルオロトリプトファンの紫外線照射によるカルベンの生成効率は高くないことがわかった。そこで本年度では、4-フルオロトリプトファンで光親和性標識したタンパク質を、より高感度なウェスタンブロットにより検出することを試みた。まず、4-フルオロトリプトファンにビオチンを導入した化合物を合成した。この化合物をアビジンタンパク質と相互作用させ、紫外線を照射することにより、光親和性標識を行った。この際、光源としてはUVトランスイルミネーター(VILBER LOURMAT)を用いて、312nmの紫外線を照射した。 得られたビオチン化アビジンをSDS-PAGEで分離し、アビジン-HRPを用いたウェスタンブロット(アビジンプロット)により検出した。その結果、ビオチン化4-フルオロトリプトファンが(共有)結合したアビジンと考えられるバンドが検出された。一方、紫外線を照射しない場合、このバンドは検出されなかった。このことは、4-フルオロトリプトファンを用いた光親和性標識の検出が可能であることを意味している。今後は、4-フルオロトリプトファンを導入したペプチドリガンドを合成する予定である。トリプトファン残基をもち、受容体が既に同定されているGlucagon-like peptide-1(GLP-1)やMetastinなどを合成する予定である。これらを用いて、受容体タンパク質との光親和性標識実験をする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22年度の研究により、UVトランスイルミネーターを光源として用いた場合、4-フルオロトリプトファンのカルベン生成率は低いことが示された。しかしながら、23年度の研究により、アビジンブロットを用いて光親和性標識されたタンパク質を検出でき、この問題を解決できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、4-フルオロトリプトファンの光親和性標識の効率は、比較的低いことがわかった。このため、タンパク質上のリガンド結合部位決定への応用は困難であると予想される。このため、本手法をリガンドの受容体(標的タンパク質)同定法としての利用に焦点をあてて、研究を遂行する。
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