2010 Fiscal Year Annual Research Report
多次元核磁気共鳴法によるメタローム解析を基盤とするイネの代謝解析研究
Project/Area Number |
22710230
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
関山 恭代 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品分析研究領域, 任期付研究員 (60342804)
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Keywords | メタボローム / 核磁気共鳴法 / 安定同位体標識 / イネ |
Research Abstract |
1)イネの^<13>CO_2標識条件の検討 多次元NMR法による代謝物のアノテーションを行なうに当たり、イネを^<13>Cで高度に標識する必要がある。イネ(Oryza sativa L., cultivar Nipponbare)野生株を^<13>CO_2下で培養し、3D HCCH-COSY等の多次元パルスシーケンスを用いて未同定ピークの部分構造を得るためには、標識率をさらに上げる必要がある事が分かっている。そこで平成22年度に生育条件を再検討したところ、これまで行ってきた、混合ガス(窒素:酸素=4:1,^<13>CO_2 350ppm)を密閉式アクリルチャンバーに導入する方法は、コストの面からもイネの生育および標識率の向上の点からも不適当である事が分かった。そこで、密閉式アクリルチャンバーの改良を行い、^<13>CO_2濃度を必要に応じて制御すると同時に、コストを約三分の一に抑える事が可能になった。また、このシステムにより換気回数を増やす事が可能になったため、生育の向上とそれに伴う標識率の向上が期待できる。 2)未同定ピークのアノテーション 代謝物ピークに対し化学的情報を付加する事を「アノテーション」と呼び、一般的には各種スペクトルデータやクロマトグラフィーを標準化合物と比較する事によって行なわれる。現状のメタボローム解析における一番の問題点は未同定ピークの多さである。標準品が入手困難な場合でも、核磁気共鳴(NMR)法により部分構造情報を付加する事ができれば、代謝ネットワークを解明する手がかりを与える事ができる。平成22年度は、イネ種子の非標識サンプルについて、^1H-^<13>C HSQCスペクトルにおいて強度の強いピークを中心としてメタノールバッファー抽出物の解析を試み、^1H-TOCSY、HMBCなどの相関シグナルをもとに推定した部分構造から、脂質系および芳香族系の標準化合物のケミカルシフトを収集した。
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